東京大学は、厚み1μm以下、10μm角の素子で、1Vので電圧印加により1.6Gbpsのデータ変調に成功し、反射光の強度を低電圧で高速に変化させるアクティブメタサーフェスを実証した。
東京大学は2025年9月11日、反射光の強度を低電圧で高速に変化させるアクティブメタサーフェスを実証したと発表した。厚み1μm以下、10μm角の素子で、1Vの電圧印加により1.6Gbpsのデータ変調に成功した。
従来の高速アクティブメタサーフェスは十分な反射率変化に数十V以上を要し、実用化の壁となっていた。本研究では、対称性の破れを利用した構造で入射光を厚み1μm以下の薄い共振器内に強く閉じ込め、低電圧動作を可能にした。
素子は厚み400nmのn型シリコン格子を周期配置し、長手方向に微細凹凸を施して一部の幅を変えることでスロット領域に光を局在化させる。スロット内に有機電気光学材料を埋め込み、シリコン格子を電極として外部電圧を印加する。電界により屈折率が変化し、反射光と透過光の強度を高効率に変調できる。
電圧掃引で反射率スペクトルの大きな変化を確認し、先行研究と比べて変調電圧を一桁近く低減しつつ大きな変調量を得た。分布ブラッグ反射器を共振器両側に集積して小型化しても特性を維持し、10μm角素子で1V駆動、1.6Gbpsのアイパターンを実証した。
CMOS回路による直接駆動や2次元並列化を見込み、自由空間光通信用送信器や高速ビーム走査への応用が期待される。今後は、イメージング、光コンピューティングを含む幅広い分野への展開を目指す。
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