産業技術総合研究所は、テラヘルツ(THz)帯メタサーフェス反射板の評価装置を開発した。基地局アンテナから照射した平面波を特定方向に反射できるため、障害物を迂回してポスト5G/6Gの通信エリア拡大に寄与する。
産業技術総合研究所は2023年12月13日、TDK、大阪大学と共同で、テラヘルツ(THz)帯メタサーフェス反射板の評価装置を開発したと発表した。基地局アンテナから照射した平面波を特定方向に反射できるため、障害物を迂回してポスト5G/6Gの通信エリア拡大に寄与する。
同装置は、オフセットグレゴリアンアンテナで疑似平面波を生成する。これを反射板サンプルに照射することで、最大330GHzの広帯域にわたり、平面波照射下での反射特性評価を可能にした。一般のコルゲートホーンアンテナでは、アンテナと反射板サンプル間の距離は30m以上必要だが、同装置では約0.9mの距離で評価できる。
6Gでの利用を想定し、220GHzと293GHzで動作するデュアルバンドメタサーフェス反射板で実証試験を実施したところ、2周波数で同方向に高効率に反射するデュアルバンド異常反射動作が可能になった。また、入射角0度、反射角45度で設計した試作品に対して、反射電力比の角度依存性を試験した。その結果、両周波数帯で所望の方向への強い反射が見られた。反射光率は80%超えで、実用に値する高効率動作となる。
今後は、330GHzまでの反射板評価技術を活用し、高機能かつ高効率なメタサーフェス反射板の研究開発を進め、ポスト5G/6Gの低消費電力かつ柔軟な通信エリア拡大を目指すという。
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