北中米W杯をウェルビーイングのテストベッドとするトロントのレガシー海外医療技術トレンド(133)(1/4 ページ)

本連載第104回で、ケベック州を始めとするカナダのAIイノベーション推進施策を取り上げた。今回は、FIFAワールドカップ2026のホストシティーであるオンタリオ州トロントに焦点を当てる。

» 2026年07月10日 07時00分 公開
[笹原英司MONOist]

 本連載第104回で、ケベック州を始めとするカナダのAI(人工知能)イノベーション推進施策を取り上げた。今回は、FIFA(国際サッカー連盟)主催の第23回ワールドカップ大会(FIFAワールドカップ2026)のホストシティーであるオンタリオ州トロントに焦点を当てる。

⇒連載「海外医療技術トレンド」バックナンバー

公園を健康インフラとして活用するトロントのワールドカップ大会運営

 2026年6〜7月の間、FIFAワールドカップ2026が、米国、カナダ、メキシコの北中米3カ国/16競技会場で共同開催されている。カナダでは、オンタリオ州トロントとブリティッシュコロンビア州バンクーバーがホストシティーとなっている。

 これらのうちトロントでは、トロント市が中心となって組織した「FIFAワールドカップ2026トロント事務局(FIFA World Cup 2026 Toronto Secretariat)」(関連情報)が、現地における大会運営を主導している。そして、同事務局を統括管理するのは、トロント市、オンタリオ州、カナダ連邦政府および先住民族の代表や外部ステークホルダーで構成される「執行運営委員会」と、トロント市議会内に設置されたガバナンス機関の「FIFAワールドカップ2026小委員会」である。

 そして、トロント市が所有しメープルリーフ・スポーツ・アンド・エンターテインメント(MLSE)(関連情報)が公設民営方式で運営するトロントスタジアム(公式収容者数:4万3036人)において、以下のような日程で試合が開催された。

  • 2026年6月12日:カナダ対ボスニア・ヘルツェゴビナ(グループB)
  • 2026年6月17日:ガーナ対パナマ(グループL)
  • 2026年6月20日:ドイツ対コートジボワール(グループE)
  • 2026年6月23日:クロアチア対パナマ(グループL)
  • 2026年6月26日:セネガル対イラク(グループI)
  • 2026年7月2日:ポルトガル対クロアチア(決勝トーナメント1回戦)

 FIFAによると、FIFAワールドカップ2026の各試合当日、トロントスタジアムに4万5000人以上の観客が集まることが予想されていた他、6月11日〜7月19日の最大22日間の開催期間中、フォート・ヨーク国立史跡およびザ・ベントウェイで開催される「FIFAファンフェスティバル」(関連情報)には、1日当たり最大2万人が来場する可能性があるとしていた。

 図1は、トロントにおけるFIFAワールドカップ2026関連イベントの会場図である。これを見て分かるように、トロントの街は、ワールドカップ関連イベント会場の周辺に、さまざまな公園緑地が分散配置されている点が特徴である。

図1 図1 トロントにおける2026年FIFAワールドカップ大会関連イベント会場図(2026年5月時点)[クリックで拡大] 出所:City of Toronto「FIFA World Cup 2026 - Getting Around The Region Map」(2026年5月時点)

 トロント市のあるオンタリオ州では、自然環境の保全と市民の心身のウェルビーイングを一体のものとして捉え、都市公園や自然資源を「健康インフラ」として積極的かつ戦略的に活用する「健康な公園、健康な人々(Healthy Parks Healthy People:HPHP)」(関連情報)の取り組みが行われている。HPHPのイニシアチブは、オーストラリアのビクトリア州などで始まった活動であり(関連情報、PDF)、本連載第63回で取り上げた米国ニューヨーク市のジャマイカ・ベイ公園など、世界各国/地域のスマートシティープロジェクトに生かされている。

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