東京農工大学らは、ウイルスの感染能を超高感度で定量測定できる新技術「マイクロフローアッセイ法」を開発した。デキストランのマイクロ液滴が分散した流体材料を用い、従来法と比べ10倍以上高い感度につなげた。
東京農工大学は2026年7月22日、ウイルスの感染能を超高感度で定量測定できる新技術「マイクロフローアッセイ法」を開発したと発表した。デキストラン(Dex)からなるマイクロ液滴が分散した全水系の流体材料を用い、従来のプラークアッセイ法と比べ10倍以上高い感度を得て、測定時間も大幅に短縮した。横浜市立大学らとの国際共同研究による成果だ。
細胞内では液相分離で生じるマイクロ液滴が微量の生体分子を濃縮する反応の場として働いており、これを模した人工のDexマイクロ液滴の応用研究が進められている。しかし、液滴同士が短時間で融合して大きな相分離に至るため、微量サンプルの高感度検出への適用は難しい。
そこで研究グループは、ポリエチレングリコール(PEG)水溶液中でDexマイクロ液滴の融合を長時間にわたり抑えるAzSAPペプチドナノファイバーを開発した。
AzSAPを加えないDexマイクロ液滴は15分以内に融合したのに対し、AzSAPを添加すると24時間以上安定に保てた。さらに紫外線を当てて分子構造を変化させ、液滴の融合を光で制御できた。
(a,c)Dex液滴の時間経過における目視観察(a)と位相差顕微鏡画像(c)。(b,d)Dex液滴/AzSAP[RO1]の時間経過における目視観察(b)と位相差顕微鏡画像(d)。(e-i) Dex液滴/AzSAPの[RO2]UV照射前後における目視観察(e,f)と位相差顕微鏡画像(g-i)。スケールバー:100μm 出所:東京農工大学この流体材料のDexマイクロ液滴内にM13ファージウイルスと宿主の大腸菌を閉じ込めると、液滴外での二次感染が抑えられ、感染を示す蛍光を放つ液滴の数がファージの初期濃度に比例した。共焦点顕微鏡やフローサイトメトリーで計測し、ウイルスの定量検出に使えることを確かめた。
(a)Dex液滴/AzSAPを用いた感染検出の概念図。(b-e)添加したM13ファージ濃度に依存した、Dex液滴と感染マーカーであるDDAOガラクトシダーゼの共焦点顕微鏡画像。スケールバー:10μm。(f)フローサイトメトリー解析によるM13ファージ濃度に依存した蛍光プロファイル 出所:東京農工大学ウイルスの高感度検出は感染症の拡大防止に重要となる。ウイルスの核酸量を測るPCR法は絶対量を高感度で測れるが、失活したウイルスも数えるため、感染能の正確な定量には適さない。
今回の研究成果は、食品や医療分野でのウイルス検査や診断、品質管理に使える次世代検出デバイスへの応用が期待される。
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