日立製作所は、過去の膨大な品質関連データから最適な知見を導き出し、製造業の品質保証業務を効率化するAIエージェント「品質ナレッジシステム」の提供を開始した。自社工場へ先行導入し、トラブル対応事例の検索時間を約9割削減した。
日立製作所は2026年6月4日、過去の膨大な品質関連データから最適な知見を導き出し、製造業の品質保証業務を効率化するAI(人工知能)エージェント「品質ナレッジシステム」を発表した。同社の次世代ソリューション群「HMAX Industry」のラインアップとして、同年4月より提供を開始した。
同AIエージェントは、機器故障などのトラブル発生時に品質保証部門が行う、過去のトラブル対応記録の検索や対応レポート作成などの業務を支援するデジタルサービスだ。これまで同社が蓄積してきたドメインナレッジに先進AIを組み合わせ、技能伝承や生産性向上など製造業の課題解決を支援する。
具体的には、膨大な過去事例を蓄積したデータベースを基に、熟練者のノウハウを形式知化することで、ベテラン技術者の経験や勘に依存していた判断をデジタルで再現する。自然言語での質問や問い合わせメールの文面から、過去のトラブル対応記録、マニュアルを高精度に検索できるため、経験の浅い担当者でも迅速かつ的確な判断が可能になる。
また、事象や現象、対策方針などのキーワードを入力するだけで、専門的かつ読みやすいドラフトレポートを作成できる。トラブル対応レポートをユーザーへ迅速に提供可能になり、顧客満足度の向上が期待される。
同社は、実効性を検証する「カスタマーゼロ」の取り組みとして、大みか事業所(茨城県日立市)へ先行導入。トラブル対応事例の検索時間を、1件あたり60分から5分へと約9割削減した。対応レポートの作成時間を120分から15分へ、不具合の原因分析時間を16時間から3時間へ削減するなど、効果を確認した。
今後は、多角的な品質状況分析機能を追加し、不具合抑止策の立案サポートや製品品質の向上に貢献する。将来的には、設計や製造、保守の業務にも同様のサービスを展開するほか、OT(制御・運用技術)領域との連携も検討して「フィジカルAI」としての展開も目指す。これにより、現場の知恵やひらめきをモノづくりの上流工程へフィードバックする好循環サイクルの確立を目指す。
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