DMG森精機は、ドイツのシュティプスハウゼンにあるDMG MORI Ultrasonic Lasertecの工場を拡張した。超音波加工技術を搭載した5軸マシニングセンタの生産能力を高め、半導体産業などで高まるニーズに応える。
DMG森精機は、ドイツのシュティプスハウゼンにあるDMG MORI Ultrasonic Lasertecの工場を拡張し、2026年6月10日(現地時間)に開所式を実施した。
シュティプスハウゼン工場では、超音波加工技術を搭載した5軸マシニングセンタを生産している。超音波加工では、工具の回転に加えて、上下方向に高周波の振動を与えることで、ガラスやセラミックなどの硬くて割れやすい硬脆(こうぜい)材を精密に加工できる。振動によって抵抗が減ることで、工具やワークに与えるダメージも軽減され、工具の長寿命化や硬脆材の加工時に発生しやすい微小なひび割れの抑制につながる。
従来の工場面積は3000m2だったが、新たに1400m2を拡張し、生産、物流、研究開発機能を強化した。超音波加工機は半導体、光学、医療、航空宇宙などの業界で導入されている。特に半導体製造装置にはガラスやセラミックなどが使われており、近年需要が高まっていることから、工場を拡張し、生産能力を2倍にした。投資額は約500万ユーロ(約10億円)となっている。
DMG MORI Ultrasonic Lasertec 社長のパトリック・ディードリッヒ氏は「今回の拡張は、今後10年の成長のための準備となる。半導体製造装置市場は2030年までに2倍になるという予測もある。従来はスペースの制約などで、1日1台しか出荷できなかったが、これからはより多くの台数を出荷できる。売り上げもそのように高められるように尽力したい」と語った。
開所式に合わせて、DMG森精機は展示イベント「ULTRASONIC Technology Days」をシュティプスハウゼン工場で開催し、新製品の「ULTRASONIC 80 Precision」を初公開した。作業空間は800×600×510mmで、直径800mm、高さ400mm、重量350kgまでのワークに対応する。DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏は「半導体製造装置の中で使われるセラミックのテーブルやプリズムなどの加工において、今一番必要とされているサイズだ」と話した。
シュティプスハウゼン工場はDMG森精機の中で、唯一の超音波加工機の生産拠点となっている。もともと超音波技術を開発したドイツのHERMAN SAUERの生産拠点だったが、DMGと森精機の統合を経てDMG森精機の傘下になった。
シュティプスハウゼンの近隣のイーダーオーバーシュタインにはかつて宝石鉱山があったことから、宝石を研磨する技術が発展し、宝石産業の集積地として栄えたという。そういった中で、HERMAN SAUERは、宝石などの材料となる硬脆材を高精度に加工できる超音波加工機の開発に至った。
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