金属3Dプリンタの実用化が加速 DMG森精機とマザックが語るDED方式活用例FAイベントレポート(1/3 ページ)

金属3Dプリンタの実用化が製造現場で進んでいる。「名古屋レーザフォーラム2026」において、DMG森精機とヤマザキマザックが登壇し、DED方式のAM複合加工機の活用例などについて語った。

» 2026年03月24日 06時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 DED(指向性エネルギー堆積法)方式の金属積層造形(Additive Manufacturing:以下、AM)の適用例が増えている。2026年2月20日に「第1回Photonix名古屋2026」(ポートメッセなごや)の併設行事として開催された「名古屋レーザフォーラム2026」(中部レーザ応用技術研究会 主催)において、DED方式のAM機能を搭載した複合加工機を開発するDMG森精機とヤマザキマザックが、それらの品質や実用例などの最新情報について語った。本稿では、重要部品の製造や補修といった実用フェーズへと移行しつつあるAM技術の現在地をレポートする。

リードタイム95%減も、DMG森精機がDED方式AMの適用拡大

 DMG森精機 執行役員 兼 DMG森精機Additive 副社長の廣野陽子氏は、「DMG MORIの高速レーザクラッティング技術と内製部品製造工程への応用」のタイトルで講演した。DMG森精機はパウダーベッド方式(SLM方式)およびパウダーノズル方式(DED方式)のAMに取り組んでいる。その理由は、金属3Dプリンタとしては、両方式が実用化レベルに達しており、技術的成熟度も高いためだという。

DMG森精機の廣野陽子氏

 同社の顧客として多いのはSLM方式だが、現在導入が増えているのはDED方式だ。「どちらが伸びるか、どちらを購入すればよいかといった質問を受けることもあるが、これから用途に応じて使い分けがされていくだろう」(廣野氏)。

 SLM方式はより複雑な形状の造形が可能で、異なるワークを同時に造形できる。一方、DED方式は、レーザーヘッドを加工機に搭載することにより、ワンチャックでAMと切削のハイブリッド加工が可能になる。さらに造形途中で金属の種類を変更でき、バイメタルや傾斜機能材料の造形にも対応する。

 DED方式はmm単位の硬質な層を設けることも可能である。使い方としては一部だけ盛ることが多く、金型の補修にも使われる。同社ではCAMをシーメンスと10年以上共同開発しており、同社の機械に特化したCAMでパス出しできる。

 顧客からの要望で多い造形物の一つが、シュラウドインペラだ。シュラウドインペラは内部が閉じた空間となるため、切削で仕上げることが非常に困難だった。切削とDED方式のAM複合加工機であれば、AMで羽根を盛り、切削する工程を繰り返すことで加工できる。従来と比較してリードタイムを95%削減するというデータも出ているという。

 トヨタグループでは、4気筒エンジンのダイカスト金型の補修にAM複合加工機を適用した。従来は、補修前の金型を測定室で測定し、その後加工室に持ち込んで摩耗部分に対して切削、溶接を繰り返すため、非常に時間がかかっていた。AM複合加工機では、1台で測定から不要部分の切削、肉盛り、仕上げまでできる。リードタイムが短くなっただけでなく、金型の寿命も延び20万ショットを問題なく耐えた。

「今までは補修する人によって1年使えたり、3カ月しか使えなかったりと、ばらつきが大きかった。それがなくなったことが、生産現場の担当者が特によかったこととして挙げていた」(廣野氏)

 ボーイングはサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からDMG森精機のDED方式のAM複合加工機を導入している。航空機部品のポンプシャフトは、以前はベアリングが摩耗すると1本丸ごと廃棄されていた。現在は摩耗した箇所を削り取ってAMで造形し、仕上げを行った上で再利用している。

 一方で、「金型の補修がキラーアプリになることは分かっていたため、次にロータリーダイに目を向けた」(廣野氏)。

 マスクのような衛生用品の型抜きやコーヒーショップのプラスチック製のふたなどは、回転しながら高速で型抜きを行うダイカットロールで作られており、グローバルにおいても成長分野である。

 従来はダイカットロールを切削で加工するため、切りくずが大量に発生し、強度を増すため焼き入れも必要だった。そこで、中心のロールについては安価な材料を用い、必要な箇所だけAMで盛ることで、より速く低コストで製造することが可能になった。

 他にも廣野氏は、リチウムイオン電池用ロール、ドローバーといった事例を紹介した。

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