価格転嫁を行った製造業は8割以上に、原材料価格の高騰や米国関税への対応でものづくり白書2026を読み解く(1)(2/2 ページ)

» 2026年06月05日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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価格転嫁を実施した企業は80.6%

 これらのさまざまな懸念材料に対し「3年間で実施した企業行動」を聞いたところ、「価格転嫁(販売先に対する値上げ要請、消費者価格の値上げ)」が80.6%で最も多い回答となった。次いで「賃上げ」(79.4%)、「設備保全」(64.5%)、「人材確保/育成」(55.1%)などが上位となっている。

photo 懸念材料に対し3年間で実施した企業行動[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

価格転嫁の内容は「原材料の高騰分」や「労務費上昇分」が上位

 では、「価格転嫁」でどれだけの費用を上乗せできたのかというと「原材料価格の高騰分」が89.4%で最も多い回答となっている。次いで「労務費の高騰分」(73.9%)、「エネルギーコストの上昇分」(61.4%)が続いている。一方で「関税の税率上昇分」については4.9%という低い回答比率となっており、関税問題を理由とした価格転嫁を行っている企業は少ないことが分かる。

photo 価格転嫁したコストの内容[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

関税問題での価格転嫁は困難

 関税の税率上昇分について価格転嫁が進んでいない理由については「関税の税率上昇による影響を精査しきれていない」が29.4%で最も多い回答となった。2番目には「関税の税率上昇を理由にした価格転嫁は理解が得られない/交渉が困難」(10.5%)が挙がっており、単純な上乗せが難しい現状がうかがえる。

photo 関税の上昇分を価格転嫁しない理由[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

 今後1年以内に価格転嫁を実施する計画を聞いたところ、「輸送用機械」(58.3%)と「鉄鋼業」(56.5%)の2業種のみが「実施を予定している」という回答が50%を超えており、これらの業界では積極的に価格転嫁を進める動きが見られる。

photo 今後1年以内に価格転嫁を実施する計画[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

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