実証実験は約1カ月が経過しており、「植える前の状態から、葉や茎などの地上部も含めて全体の質量は4〜5倍に成長した」(NTT東日本の説明員)という。生存率も9割以上を維持している。土壌栽培と比較した成長速度や栄養素の変化については、今後のデータ分析を通じて明らかにする方針だ。
また、アクアポニックス栽培がもたらす利点として、オタネニンジンの「全草活用」への道が開かれることも期待している。土壌での栽培方法では農薬を使用することが多く、その影響を考慮して再春館製薬所が製品に利用できるのは主に細根のみに限られていた。
NTT東日本 ビジネス開発本部 営業戦略推進部 部長の佐藤文武氏は、「完全無農薬であるアクアポニックス栽培を用いることで、これまで利用が難しかった葉、茎、実などの部位も活用できる可能性がある。新たな有用成分の抽出や、製品における有用成分の増加、付加価値の拡張を見込んでいる」と語った。なお、葉や茎の成分分析には、化粧品原料の研究開発などを行っているテクノ―ブルも参画し、共同で有用性の検証を進める。
NTT東日本と再春館製薬所は今後、実証設備での栽培期間を2カ月、3カ月と段階的に延長し、生育状況や有用成分量の変化に関する検証をさらに進めていく方針だ。AIを活用したデータ分析と環境制御の精度を高めることで、大きく成長する個体の割合を可能な限り引き上げ、安定した生育条件の最適化に取り組む。
将来的には、確立した技術を広く社会へ展開することも見据えている。佐藤氏は、「アクアポニックス栽培という新しいモデルを通じて、他企業や自治体との連携を促進し、地域経済の活性化に貢献することを目指す」と展望を語った。
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