ニデックは2025年9月に不適切会計が発覚して以降、「必ず正しく」を最優先に、風土、制度、プロセスを見直して実効性のある仕組みを再構築するための取り組みを進めている。風土改革では、岸田氏が社員との直接対話を重視する社長タウンホールミーティングを開催しており、現場主導の「Culture Transformation Lab」により「声があげられない」文化から「言えば変わる」文化への移行も進めている。2026年4月1日に就任した新執行役員が全員参加する合宿を行い、新たな経営体制の下で変革を断行することを確認したという。
岸田氏は「今回の品質問題も変革を進める中で把握できたものと認識している」と強調する。実際に、品質総点検は2026年1月8日に開始したものの、1000件以上に上る報告のほとんどは同年3月3日の人事刷新と4月1日の新体制発足以降に集中しており、社員が組織風土改革の取り組みの進捗を実感している影響しているとみられる。
取締役もガバナンス改革を基盤に刷新する。ニデック社内からは再任となる岸田氏の他、常務執行役員 CCO(最高コンプライアンス責任者) CHRO(最高人事責任者)の南井正之氏と、執行役員 CSCO(最高サプライチェーン責任者)の三宅武志氏が新任として就任する。社外取締役は現在の8人のうち7人が退任して、9人が新任となることからほぼ全面刷新といえる体制となる。
また、今後に向けた企業価値向上策として、これまでの中期経営計画「Conversion 2027」に代えて、2026〜2030年度を対象期間とする「“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン」を打ち出した。同プランは「5本柱を軸とした事業の再編」「事業ポートフォリオの見直し」「グループ再編」「全社IT基盤改革」が主要な施策となる。
「5本柱を軸とした事業の再編」では、Better Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovationを5本柱に事業を再編し、各柱で連結事業のアカウンタビリティを負う構造へ転換する。また、5本柱に合わせて現在法人別に有している販社や工場なども集約していくという。
「事業ポートフォリオの見直し」では、成長性と収益性の観点で各事業を「継続主力領域」「成長投資領域」「製品ラインアップ見直し領域」「構造改革・転換領域」「新規領域」の5つに分けて事業の選択と集中を行う。なお、ニデックが近年注力してきた工作機械やE-Axleは、事業の売却や縮小/中止などの可能性もある「製品ラインアップ見直し領域」や「構造改革・転換領域」に配分されている。
その一方で、AIデータセンターやエネルギー、半導体関連など高収益や市場成長が見込まれる「成長投資領域」には積極的な投資を推進する。また、フィジカルAI/ヒューマノイドと航空宇宙は「新規領域」として注力する方針だ。
「グループ再編」では生産事業所の最適化と法人統合を行う。生産事業所の最適化では、小規模事業所の統廃合や大規模・中規模事業所の生産性向上により、現在の248拠点を160〜180拠点に削減する。法人統合では、現在353ある法人数を、ほぼ半減となる160〜180まで減らす。これによって、ガバナンスの強化と固定費削減、“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プランにおける経営指標として挙げるROIC(投下資本利益率)の向上につなげる。
「全社IT基盤改革」では、5年累計で1000億円を投じてグループIT基盤を刷新するとともに、同期間で300億円の戦略投資により全社共通エンジニアリングプラットフォームを導入する。「設計からBOM(部品表)、材料費、製造、工程、オペレーション、会計まで“正しい”が実行される運営を実現していく」(岸田氏)としている。
永守氏がニデック完全退任、「経営者としての私の物語にピリオド」
ニデック永守氏が代表取締役を辞任、会計不正につながる企業風土への反省から
ニデックの会計不正の温床となった6つの原因とは? 改善計画を公表
会計不正問題で揺れるニデック、原因は「短期的収益を重視し過ぎる傾向」にあり
レノボとニデックが水冷AIサーバで協業、「冗長化設計」のCDUが高評価
ニデックが牧野フライスへのTOB撤回「経済合理性を欠くことになりかねない」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク