CAE解析(有限要素法)を使って、金型形状を模索することになります。3D CADに付属しているCAE解析ソフトを使う場合は、図10のような要素分割図になるでしょうか。四面体要素しか生成できないところが少し引っ掛かりますが、簡単に解析できるでしょう。
しかしながら、今回の解析モデルでは、以下の部品間に「摩擦あり接触要素」を設定する必要があります。
スタンパとワークには拘束条件を設定していません。つまり、水平方向に自由に移動するような境界条件です。ここでは、接触要素が発生する摩擦力に頼ることになります。
うまい具合に計算してくれるソフトもありますが、計算が収束せずに終わってしまう可能性があります。簡単に計算できると書きましたが、接触要素を使った非線形問題なので、通常の10〜20倍の計算時間がかかります。
しかし、ここで強調したい点は、計算未収束問題ではありません。以下に説明します。
今回は、圧力が均一になる金型形状を求める問題でした。ということは、以下の作業になります。
フローチャートにしましょう。図11のようになるでしょうか。
試行錯誤のループを何回も回すことになります。問題は、1回の試行錯誤にかかる時間です。もし、1回の試行錯誤に200時間かかったとしましょう。月にできる試行回数は4回です。
少々厳しい表現になりますが、「あの人、朝から晩までコンピュータの前で計算してるけど……」とか、「あの人、真面目で朝から晩まで実験室でデータを取っているけど……」という状況をたまに見掛けます。半年後の期末報告で、「まとまった成果物ってあるのかしら?」となってしまうケースです。彼/彼女は真面目に仕事をしているのです。気分を害された方がおられたらゴメンなさい。
ポイントは以下です。
試行錯誤に取り掛かる前に、1回の試行錯誤にかかる時間と費用が最小になるような仕組みや道具を作ろう!
試行錯誤を始める前に、やるべき作業があるのです。
シミュレーションだったら簡素なモデルから始めて、だんだん本番モデルに近づけます。実験だったら、測定値を瞬時に目視できるようにセンサーと計測器を手配/配置します。装置開発だったら、状態量がすぐに分かるように、センサーと計測器、表示器を組み込んで設計します。最近は3Dプリンタが普及したので、部品製作にかかる時間は大幅に短くなりました。そのため、この手の制約はかなり緩和されました。
どこかの本で、「これからのコンピュータプログラミングの専門書は、ソースコードの読みやすさを記述する前に、1ページ目に『まず、並列化できないか考えろ』と書くべきだ」とありましたが、少し似ているような気がします。
CAE解析をやっている方への、シミュレーションの神様からの神託です。
いきなり、本番解析はするな!
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