夏目光学や名古屋大学らの研究グループは、天文学と放射光科学を融合し、国産の高解像度宇宙X線望遠鏡の開発に成功した。大型放射光施設SPring-8を活用した性能評価にて、FWHM0.7秒角の高い解像度を達成している。
夏目光学は2026年4月8日、名古屋大学、東京大学、名城大学、理化学研究所との共同研究グループが、国産の高解像度宇宙X線望遠鏡を開発し、性能実証に成功したと発表した。
宇宙X線観測には、天体構造を識別するための高い解像度が求められる。しかし、X線は極めて浅い角度でしか反射しないため、ナノメートルレベルの形状精度を持つ特殊な反射鏡が必要となる。
今回の研究では、放射光科学分野の超精密電鋳法を用いてX線反射鏡を作製。天文学分野の光学設計や宇宙実装技術を組み合わせることで、宇宙環境に耐えうる構造的安定性と高い光学性能の両立を果たした。
性能評価には、大型放射光施設SPring-8の約1km長尺ビームライン「BL29XUL」を活用した、高輝度無限遠点光源模擬評価システム「HBX-KLAEES」を用いた。約900m離れた位置に微小X線光源を配置して、天体から到来するほぼ平行なX線を模擬し、評価した。
その結果、望遠鏡が微細構造を識別できる尺度FWHM(Full Width at Half Maximum)が0.7秒角、点状光源観測時の像の広がりを表すHPD(Half Power Diameter)が14秒角という高い解像度を確認できた。これは、約1km先にある数mm程度の物体を見分けられる解像力と、光のエネルギーの半分を約68mm程度の範囲に収める集光能力に相当する。また、反射鏡単体について局所的なスポットスキャン測定を試みたところ、10秒角以下の解像度を記録し、反射鏡自体の優れた光学性能が示された。
開発した望遠鏡は、日米共同太陽フレア観測ロケット「FOXSI-4」に搭載されて打ち上げられた。これまで高解像度宇宙X線望遠鏡の開発は欧米が主導してきたが、今回の成果により国内技術による高精度な観測体制が整ったことになる。この成果は今後の超小型衛星や小型惑星探査機による高解像度宇宙X線観測の基盤技術となることが期待される。
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