声やスマホでの操作も不要、次世代スマートホームは「ビルトイン型」へ組み込み開発ニュース

シリコンバレー発のHOMMAは、設計段階からテクノロジーを組み込む建築統合型スマートホームの日本展開を本格化する。2028年に年間1000世帯の導入を目指す。

» 2026年04月22日 06時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 シリコンバレー発の建築テクノロジー企業であるHOMMA Group(以下、HOMMA)は2026年4月20日、東京都渋谷区の代々木上原オフィスにおいて、日本での本格展開に向けた事業説明会を開催した。

HOMMA代々木上原オフィス内にあるショールームスペース HOMMA代々木上原オフィス内にあるショールームスペース[クリックで拡大]

「住宅にもiPhoneやTeslaと同じイノベーションを」

HOMMA 代表取締役の本間毅氏 HOMMA 代表取締役の本間毅氏

 HOMMAは2016年に米国のシリコンバレーで創業したスタートアップだ。住宅の設計段階からテクノロジーを組み込む、建築統合型スマートホームシステム「Built-in Intelligence(ビルトインインテリジェンス)」を提供している。代表取締役の本間毅氏は、創業の原点について「100年という時間を経て、電話はiPhoneのようなスマートデバイスに、自動車はTeslaのようなSDV(Software Defined Vehicle)へと進化を遂げた。一方で、住宅という空間の在り方はほとんど変わっていない。われわれは住宅領域に、それらと同じようなイノベーションを起こしたいという思いでスタートした」と語る。

電話、自動車、住宅の100年間の変化 電話、自動車、住宅の100年間の変化[クリックで拡大] 出所:HOMMA

建築段階からシステムを内包、住宅をOS化する技術構造

 一般的なスマートホームは、既存の住宅にIoT(モノのインターネット)デバイスを後付けし、スマートフォンやスマートスピーカー経由で操作する手法が主流である。しかし従来のスマートホームの課題としては、ユーザー自身が異なるメーカーの機器を連携させるためケーブルが混在することや、機器ごとのアプリ設定が必要な点が指摘されてきた。対して本間氏は、「HOMMAは設計段階からセンサーや照明、空調などの配置を一体的に計画し、建築そのものにシステムを内包させるアプローチを採っている。『住宅そのものをOSにする』考え方だ」と語る。

 HOMMAが提供するスマートホームの室内には、玄関やトイレなどを含む生活空間を網羅する形でセンサーを配置している。これらのセンサーから得たリアルタイムの情報をエッジコンピュータで処理し、各機器の制御を行う仕組みである。

HOMMAのスマートホームを制御するハードウェア類 HOMMAのスマートホームを制御するハードウェア類[クリックで拡大]

 システム全体の司令塔を担うのは、「HOMMA HUB」と呼ぶ制御システムだ。ここに通信拡張用のXBEE DONGLEを接続することで、室内に配置された各センサーや照明器具、照明制御ネットワーク「LiCONEX(ライコネックス)」などと双方向通信を行い、空間全体を統合制御する。これらの制御通信は、ローカルネットワーク(LAN)内でほぼ完結させている。なお、各モジュールは固定された仕様ではなく、必要に応じて他の通信モジュールやデバイスへの変更や拡張が可能だ。これらハードウェア群はシステムボックス内に集約し、室内の見えない場所に設置される。

縦30×横50cm程度のシステムボックス内に集約する 縦30×横50cm程度のシステムボックス内に集約する[クリックで拡大]

スイッチ操作は不要、「家が人に合わせる」5つの機能

 ユーザーへ提供するのは、5つのコア機能である。基本となるのは、居住者の動きをセンサーで感知し、照明や空調などを自律的に最適化する「自動運転・ハンズフリー」機能だ。照明環境においては、太陽の動きや時間帯に合わせて自動制御する「サーカディアンライティング」を採用しており、朝は覚醒を促す白い光、夜は温かみのある低い位置からの光へと、色温度と明るさを自動調光する。また、これらの光空間をワンタッチで呼び出せる「カスタムライティング」を備える。

時間帯に合わせた調光の様子。(左)夕方の時間帯と(右)朝の時間帯で、照明の色や明るさが異なる。[クリックで拡大]

 住空間の管理機能としては、居住者の不在をシステムが検知して自動で消灯や空調をオフにする「遠隔コントロール」の他、不在時の不審な動きを検知して即座にスマートフォンへ通知する「安心・見守り機能」を搭載している。

 顧客はこれらの自動運転に加えて、スマートフォンのアプリや、コントロールパネルによる手動操作で、自身の生活スタイルに合わせて設定することが可能だ。

(左)アプリでの操作、(右)コントロールパネルでの操作[クリックで拡大]

「システムは設計段階から住宅にビルトインされているため、入居者はデバイスの購入や初期設定、専用アプリのインストールといった煩雑な作業を行うことなく、即座にスマートホームでの生活を始めることができる。また、ソフトウェア更新は自動的に行われ、エラー発生時はHOMMAの管理側へダイレクトに通知される仕組みを構築しているため、居住者側でのメンテナンスやアップデート作業も不要だ」(本間氏)

高価格帯物件を中心に展開、2028年に年間1000世帯へ

 日本国内の住宅市場は、新築着工戸数が減少傾向にある一方で、高齢化の進展やZEH(Net Zero Energy House、ゼッチ)の普及などを背景に、「安くて新しい家」から「高性能で長く住める家」へと消費者のニーズが変化している。HOMMAはこうした市場環境において、比較的高価格帯の物件をターゲットにシステムの導入を進めていく方針だ。料金については「HOMMAを導入した部屋は、通常物件と比較して家賃設定が6%ほど高くなるイメージ」(本間氏)という。

HOMMAがターゲットとする市場 HOMMAがターゲットとする市場[クリックで拡大] 出所:HOMMA

 HOMMAは創業以降、米国市場を中心に独自システムの開発と実装を重ねてきた。日本市場への本格参入に向けては2025年12月に東京拠点を開設し、日米累計で約100世帯への導入実績を持つ。長谷工コーポレーションとは2024年から共同で実証実験を行っており、2025年10月に新たに竣工(しゅんこう)した新築賃貸マンション「ブランシエスタ木場」(東京都江東区)の全129戸のうち11戸にHOMMAのシステムを導入した。

 今後の事業展開について本間氏は、「現在のプランとしては、2028年までに年間約1000世帯、10万m2へのシステム導入を目指していく。われわれが提供したいのは単なるテクノロジーではなく、その先にある『暮らしの質の向上』を実現することだ」と語り、建築とテクノロジーの融合を通じた新たな体験価値の創出に意欲を示した。

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