オムロン エンタテインメントはマネジメントバイアウト(MBO)により、2007年4月にフリューとして独立した。この独立前後から技術が明確な形になり始め、新機種が次々と誕生した。その代表例が、デジタル一眼レフカメラと傘ストロボ6灯を用いて高画質に撮影できる「姫と小悪魔」(2006年発売)や、「美人-プレミアム-」(2007年発売)だ。
2000年代前半までは、ソフトウェア上で顔の全体的な抽出はできても、目や口といった「パーツ」を正確に特定して加工を施すことが難しかった、フリューはこの壁を乗り越える画像処理技術を開発し、美人-プレミアム-に取り入れた。
「顔検出機能で目の頂点を特定し、目だけを拡大する技術を開発した。当時流行していた“つけまつげ”も美しく写しながら、不自然にならない絶妙なバランスを追求し、いわゆる『デカ目』加工を完成させた」(榎本氏)
また、「美人」シリーズは、ソフトウェアによる画像処理だけでなく、ハードウェア面での進化も遂げている。当時、業界では600dpi程度のプリンタを採用するのが主流であったが、フリューは業界で初めて1200dpiの高解像度プリンタを搭載。最終的にユーザーが手にするシールの画質を飛躍的に向上させた。ソフトとハードの両面から美しさを追求した同機は、その後「2」「3」「スペシャル」と続くヒットシリーズとなった。
物理的なプリントシールの品質向上を追求する一方で、榎本氏は早くからデジタルデータの価値にも着目していた。2003年には、オムロンのセンサー技術を生かし、プリントシール機から携帯電話に画像のダウンロードURLを転送するサービス「楽プリショット」を立ち上げている。
また、2004年以降は「前略プロフィール」に代表される初期のSNSブームが到来し、中高生の間で「プロフィール画像に盛れたプリを使いたい」というニーズが急増。さらに、第3世代移動通信方式(3G)の普及により、携帯電話でも高精細な画像が閲覧できる環境が整い始めていた。こうした変化を見た榎本氏は「いずれ画像の時代が来る」と確信し、送信用画像の高画質化や、ダウンロード可能な人数の拡大といった機能拡充に踏み切る。
同時に、「1枚目は無料でダウンロードでき、残りの全画像も欲しい場合は月額課金の有料会員になる」というフリーミアム型のビジネスモデルを構築した。これにより、筐体のプレイ料金に依存しない継続的な収益基盤を確立。「楽プリショット」はスマートフォンの普及に伴って2011年に「ピクトリンク」へと移行し、2015年には会員数1000万人を突破するなどのプラットフォームへと成長を遂げた。
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