近年、エネルギー需要の増加や脱炭素への対応が求められている他、日本のエネルギー自給率は15%で、米国や中国、ドイツに比べて低いという問題もある。これらの問題の解決策として、核融合発電が注目されている。田口氏は「核融合発電が注目されている理由はいくつか挙げられる。例えば、CO2排出量がゼロな点や燃料となる重水素を海水から得られる点がある。核分裂反応を利用する原子力発電と異なり、高レベル放射性廃棄物が出ない点や、原理的に連鎖反応が起きず暴走事故が発生しない点もメリットだと考えている」と話す。
加えて、「再生可能エネルギーと比べて、コンパクトな敷地で天候による変動がなく安定的に1年間にわたり創エネできるメリットもある」と補足した。
核融合発電は、超高温かつ高密度の環境に水素同位体を閉じ込めることで生じる核融合反応で発生する大きなエネルギーを発電に活用する次世代型の発電方式となる。具体的には、三重水素や重水素を超高温かつ超高圧で加熱しプラズマ状態として双方の原子核を衝突させ合体させることで核融合反応を起こし中性子を発生させ、その中性子からブランケットを通して熱エネルギーを抽出し発電に利用する。
Helical Fusionは、核融合研究所や京都大学などの技術基盤を基に、ヘリカル型核融合炉を用いた商用発電所を実用化する計画「Helix Program」を進めている。Helix Programでは、「日本でもうひとつ太陽をつくろう。」をコンセプトに、2030年代の前半にヘリカル型核融合の最終実験装置「Helix HARUKA」を完成させ実証を完了することや、2030年代の後半に50M〜100MWを発電するヘリカル型核融合の初号機「Helix KANATA」の試運転と実用発電を行うことを計画している。
同社は既に小型装置を用いてヘリカル型核融合炉の概念実証を完了している他、大型ヘリカル装置(LHD)によりプラズマ温度1億℃でプラズマ保持時間3000秒以上を達成。高温超伝導マグネットの個別実証も完了している。ブランケット兼ダイバータは開発中だ。残す大きな課題は、ブランケット兼ダイバータの開発達成や、統合実証用のヘリカル型核融合炉であるHelix HARUKAと定常/正味発電を行える核融合炉「Helix KANATA」の建設となっている。
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定常核融合炉の開発で重要な材料「ベリリウム」の調達などで協業Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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