強度設計の出発点 “計算”より先に考えるべきこととは? : 若手エンジニアのための機械設計入門(13) (3/3 ページ)
「ドン!」「ガツン!」と瞬間的に力が伝わるのが特徴で、同じ重さでも、ゆっくり加える力よりもはるかに大きな影響を与えます。衝撃荷重では、以下のような現象が起こる可能性があります。
最大荷重が静的計算よりも何倍にもなる
応力が一部に集中しやすい
割れ/欠け/塑性変形が発生しやすい
衝撃荷重については、落下や衝突といった現象が起こり得るかどうかを検討する必要があります。
項目
静的荷重
衝撃荷重
力のかかり方
ゆっくり
一瞬
最大応力
小さい
非常に大きい
計算
比較的簡単
難しい
破損リスク
低い
高い
表1 静荷重と衝撃荷重の違い
ここまで、強度設計を考える上での前提として、力の作用の仕方と力の時間的な変化を整理してきました。力には、引張、圧縮、曲げ、ねじり、せん断といった作用の仕方があり、実際の部品では、これらが単独ではなく組み合わさって作用します。設計者は、どの力が支配的かという点にも注意する必要があります。
また、同じ力であっても、それがゆっくり一定にかかるのか、かかったり抜けたりを繰り返すのか、あるいは瞬間的に加わるのかによって、壊れ方は大きく変わります。これらをあらかじめ予測することが、強度設計では重要になります。
図5 CAEによる強度設計の一例[クリックで拡大]
ここまでの整理で明らかになったのは、強度設計では単に「どれくらいの力がかかるか」だけを見ても、安全かどうかは判断できないということです。力の向きと時間的なかかり方を踏まえた上で、部材の中で何が起きているかを捉えなければなりません。
そこで次に必要となるのが、これら全てを共通の尺度で扱うための考え方です。力が部材の内部でどのように分布し、どこに集中しているのかを表す指標として、応力を考える必要があります。
次回は、ここまで整理してきた力の作用や時間的変化を、一つの物差しで評価する考え方として、“応力 ”を取り上げます。応力とは、単に力の大きさを示すものではなく、その力が部材の中のどこに、どれだけ集中しているかを表す指標です。なぜ設計では“力”ではなく“応力”で考えるのか。その理由を理解すると、壊れやすい場所が見えてきます。次回は、強度設計の判断を支える「応力の考え方 」を整理します。 (次回へ続く )
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土橋美博 (どばし よしひろ)
半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカーを経て、「メイドINジャパンを、再定義する。」有限会社スワニーに入社。CIOとして最新デジタルツールによるデジタルプロセスエンジニアリング推進に参画する。
ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)、ワールドワイドのソリッドワークス・ユーザーグループネットワーク(SWUGN)のリーダーも務める。
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