今回の取り組みは特に輸送事業者や倉庫事業者に注目されているという。南村氏は「輸送事業者は現在、さまざまな貨物の輸送に対応するため、常温用、冷蔵用、冷凍用のトラックを別々に用意しなければならない。しかし、対応する温度帯が異なるトラックを別々に用意するのは負担だ。実は、各トラックが輸送に使われる際は、積載率が低く、荷台に空きスペースがあるケースも多い。真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスに冷凍/冷蔵品を入れることで、常温トラックの空きスペースに積載できる。つまり、1台の常温用トラックで『3温度帯の混載輸送』を行える可能性がある」と述べた。
加えて、南村氏は「これにより、ドライバー不足をはじめとする物流問題への対応や、効率的な運搬の実現でCO2排出量の削減に貢献する」と補足した。
同社では現在、真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスを用いて、6時間の輸送時間でも、常温用トラックにより保冷剤なしで保冷貨物を問題なく運べるかを検証している。次のステップとしては、同様の条件で12時間の輸送時間に対応するかを調べる見通しだ。
南村氏は「常温領域は一般的に、下限は0℃、上限は35〜40℃程度と想定されている。しかし、昨今の夏は以前よりも暑い日も多い。そのため、これまで常温輸送で運べていたものでも悪影響を抑える目的で、真空断熱スリーブボックスや真空断熱ロールボックスが使われる可能性がある。例えば、精密機器や日用品などが考えられる」と将来的な用途も示した。
ちなみに、TIVIPは2027年度に商品化予定で、夏季の温度上昇抑制や冬季の凍結防止といった課題に対応しつつ、食品、医薬、電子部品、美術品など多様な分野への展開が検討されているという。
なお、同社は2025年に、TIVIPを備えた冷蔵コンテナ「真空断熱リーファーコンテナ」の実証実験を行い、従来の冷蔵コンテナと比べて、消費電力およびCO2排出量を45.9%削減することに成功したと発表した。
同実証実験では、真夏日(平均気温32.3℃)の兵庫県神戸市で、TIVIPを追加実装したリーファーコンテナと従来のリーファーコンテナの消費電力を7時間にわたり測った。庫内を5℃に維持する設定で保冷機を稼働させたところ、従来のリーファーコンテナは7時間を通して常に保冷機が稼働し続けたのに対し、TIVIPを実装したリーファーコンテナは高い保冷力によって稼働時間を5時間に抑えた。これにより、非稼働時間を合計で120分確保できた。
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