同社は、3年間の開発期間を経て、TIVIPの実証用サンプルを製作し、このサンプルを用いて、大阪・関西万博で保冷輸送の実証実験を行った。
この実証実験では、TIVIPや岐阜プラスチック工業の樹脂製ハニカムパネル「テクセル」、発泡材を組み合わせた断熱ユニットパネルを作成した。同社は、このユニットパネルを活用し、「真空断熱スリーブボックス」や「真空断熱ロールボックス」といった保冷ボックスを開発して、日本通運と協力し会場内外の保冷輸送を行った。
南村氏は「大阪府に、大阪・関西万博の指定輸送事業者である日本通運を紹介してもらい、開発中のTIVIPを説明した。その結果、日本通運から関心が得られ、TIVIPを用いて『新たな輸送ボックス』を開発する流れになった」と話す。
真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスは、会場内の各パビリオンや飲食店などへの保冷貨物の輸送に使われた。具体的には、会場内で提供される食品、飲料、土産物など、温度管理が求められる貨物輸送において、この断熱ユニットパネルの活用が開始された。輸送中には温度データの取得/管理を行い、今後の商品化に向けた検証や分析も実施されている。
真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスにより、高性能な保冷輸送が可能となった。従来の冷凍、冷蔵、定温輸送では、温度維持のために蓄冷材や蓄熱材の使用が必須だった。今回のユニットパネルを活用することで、これらの資材を減らすとともに、空調機器の使用を抑え電力使用量を削減した。
南村氏は「真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスは、保冷力が高い保冷輸送器で、搭載する保冷剤やドライアイスの量を最小化できる。近年、ドライアイスは日本中で供給が逼迫(ひっぱく)しており、使用量を減らしたいという事業者側のニーズとも合致している。大阪・関西万博では、少量の保冷剤やドライアイスを積んだ真空断熱スリーブボックスと真空断熱ロールボックスを用いて、大阪府高槻市の冷蔵拠点から会場内まで保冷貨物を輸送した。輸送時間は1時間くらいだ」と語った。
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