検査と診断の質の向上にも取り組んだ。立位検査では、スキャナー部の陰に隠れて患者の姿が確認しづらい場面があるため、4台のカメラを連携させたサポート機能を搭載し、操作パネル上で患者の状態を確認しながらポジショニングできるようにした。
操作パネルは、従来機のタッチパネルと1ボタン操作によるインタフェースを継承しているという。「人型メニューをダイレクトに操作してボタンを押すだけで、撮影開始位置を適切にポジショニングしてくれる」(同社)ため、作業効率の向上にも寄与するとしている。
操作パネルの画面レイアウトの検討では、ユーザビリティデザイナーと連携し、アイトラッキングによる視線移動の分析なども実施された。画面内の必要な情報に素早くアクセスできるかを確認し、視線移動が最小となる、ユーザーに寄り添ったレイアウトを導き出したという。「医療スタッフは患者の様子を確認しながら機器を操作する必要があるため、いかに少ない視線移動でスムーズに操作できるかが重要となる」(同社)。
さらに、キヤノンのMR(複合現実)システム「MREAL」を用い、実寸大の3Dモデルを仮想空間に投影して、操作パネルの見え方や位置関係などを検証し、実使用環境に即した操作性を追求した。このように、「さまざまな検証をデザイナーが自ら行い、ユーザー理解に努めながらデザイン検討を進めてきた」(同社)という。
Aquilion Riseは、立位/座位/臥位の3姿勢に1台で対応できる点が特長であり、患者の移動を最小限に抑えることで、検査フロー全体の効率化につながる。これにより、検査のスループット向上と運用コストの低減が可能となり、病院経営にもメリットをもたらす。診断精度の向上、患者負担の軽減、運用効率の向上といった医療現場のニーズに応える装置として期待されている。
最後に同社は「日本製CTの技術革新と洗練されたデザインの融合によって生まれた新しいCTであり、このデザインを通じて、医療現場に安心と快適を届けたい。そして、世界中の患者が前向きに検査を受けられる未来を実現したいと考えている」と述べ、講演を締めくくった。
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