北越コーポレーションは、マイクロ波技術関連の展示会「MWE 2025」に出展し、ナノカーボンを使用した「電磁波ノイズ抑制シート」とサスティナブルな素材を選べる「電磁波吸収体」の開発品を紹介した。
北越コーポレーションは、マイクロ波技術関連の展示会「MWE 2025(2025 Microwave Workshops and Exhibition)」(会期:2025年11月26〜28日、パシフィコ横浜)に出展し、ナノカーボンを使用した「電磁波ノイズ抑制シート」とサスティナブルな素材を選べる「電磁波吸収体」の開発品を披露した。
ナノカーボンを使用した電磁波ノイズ抑制シートは、厚さ40μmのシートで1〜30GHz帯の伝導ノイズを吸収できる他、100MHz〜3000GHz帯の放射ノイズを抑えられる。同社では、電子回路基板を模擬した伝送路線に電磁波ノイズ抑制シートを装着した上で、信号を流し、そのときの信号の減衰量から伝導ノイズ吸収効果を評価した。その結果、GHz帯における伝導ノイズ吸収効果を確かめた。北越コーポレーションの説明員は「ノイズを吸収するだけでなく、100MHz〜12GHzで−10dB程度のシールド(反射)性能も備えている」と語った。
加えて、国際規格「CISPR32」に準じ、「ノイズ基板のみ」と「ノイズ基板+電磁波ノイズ抑制シート」に対して、放射電波強度測定を行った。その結果、ノイズ基板のみよりノイズ基板+電磁波ノイズ抑制シートの方が放射電波強度に優れることが分かった。
主な用途としては、電磁波ノイズ発生源(チップ、基板、ケーブルなど)に搭載することで、近傍のノイズを吸収することを想定している。なお、同シートは難燃品もラインアップしている。同シートの難燃品は、自動車の電装ケーブルやエンジン周辺機器など、発火リスクがある箇所に使える。
サスティナブルな素材を選べる電磁波吸収体は、無機繊維あるいはバイオマス繊維紙をベースとした製品となる。同製品の密度は約0.15〜0.30g/cm3と軽量で、マイクロ波帯とミリ波帯の両帯域で吸収性能に優れる。誘電率も低く電磁波の反射を抑えられる。両面テープ、接着剤、ビズ留めでの設置に対応する。
無機繊維ベース品は400℃に24時間耐える耐熱性を有している。800℃に5時間耐える開発品もある。無機繊維ベース品およびバイオマス繊維紙ベース品ともに、プラスチック材料の難燃性を評価する「UL94規格」において、最も高い難燃性を示す等級「V-0」を取得している。
用途としては、モビリティ、航空宇宙機器、ドローン、ワイヤレス給電機器などにおける電磁波ノイズの他、レーダーゴーストの防止を想定している。レーダーゴーストとは、電波が複数の経路を反射するマルチパス効果によって発生する現象で、実際に物体がない場所に目標が存在するかのように誤って検知してしまう事象を指す。
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