アバンシは自動車分野向けに、さまざまなプログラムを展開している。同社が最初にコネクテッドカー向けとして提供を始めた「Avanci 4G Vehicleプログラム」はここ数年で大きく成長しており、IoT(モノのインターネット)や自動運転などさまざまな技術に対応する。フィッツジェラルド氏は「ライセンシーはこのプログラムに参加することでコネクテッドカーに関するさまざまなテクノロジーのライセンスを受けることができる」と語る。
最新のコネクテッドカー向けには2023年8月から「Avanci 5G Vehicleプログラム」を展開。4Gのプログラムに関わっていた20社以上のライセンサーが5Gプログラムに参加している。他にも、自動車の販売後などで使用するアフターマーケット向けのプログラム「Avanci Aftermarket」やスマートメータープログラム「Avanci Smart Meter」、EV(電気自動車)用充電器のプログラム「Avanci EV Charger」といった移動体通信プログラムも提供している。
また、アバンシは自動車関連以外にもIP(インターネットプロトコル)をベースにした次世代のテレビ放送規格ATSC3.0に対応し、市場の9割をカバーする放送プログラム「Avanci Broadcast」や動画のストリーミング使用するコーデック技術に関するビデオプログラム「Avanci Video」など多様なプログラムを展開している。加えて、特定の技術に対してライセンスを付与するカスタムメイドのプログラム「Avanci Solutions」も提供し、さまざまなニーズに対応している。
アバンシのプラットフォームを日本市場に導入する初期段階では、特許活用の文化の違いから理解を得るのに時間がかかったという。アバンシ 東京オフィス 代表の山本一成氏は「日本の社会では積極的にライセンスを活用して金銭を得るという文化があまり無かった。ましてや、通信業界が自動車業界に特許ライセンスを供与することは非常に珍しいケースであった」と述べる。
日本でアバンシのモデルを普及させるために、ライセンスの価格がしっかりとしたロジックに基づいて設定しているものだと説明を続けることで、理解を得る機会が増えていったという。「結果的に、日本でも多くの企業がわれわれが提供するプログラムに参加しており、日本がキーマーケットになるまで成長した。グローバルな形のプラットフォームを構築できることを特許庁や内閣といったさまざまな官公庁の方々に理解していただいたと思っている。一つ一つの積み重ねがあり、やっと実現した」(山本氏)。
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