2026年3月期第2四半期における帝人の連結業績の売上高は前年同期比565億円減の4510億円で、事業利益は同56億円減の130億円となった。営業損益は同63億円減の540億円の損失で、親会社の所有者に帰属する中間損益も548億円の損失を記録した。売上高は、主に北米における複合成形材料事業の譲渡により減収し、事業利益は、主にマテリアルセグメントでの競争激化やアラミド事業での大型定期修理工事(定修)の影響などにより減益となった。
セグメント別では、マテリアルセグメントの売上高は同469億円減の1876億円で、事業利益は同33億円減の16億円の損失を記録した。同セグメントでは、北米における複合成形材料事業の譲渡が2025年7月1日に完了した他、アラミドや炭素繊維の事業でコスト構造の改革が進捗した。しかし、大型の定修や販売攻勢の悪化などで減益となった。加えて、炭素繊維の事業も販売数量減少や価格の下落で減益になったという。
同社 代表取締役専務執行役員 経営企画管掌 兼 経理・財務管掌の森山直彦氏は「中国や韓国の素材メーカーが展開する炭素繊維により、スポーツ用具や産業資材向けの用途で価格が下落している。ただし、スポーツ用具向けの炭素繊維でも、日系メーカーが品質を重視して製造する製品で採用されているものは価格が維持できている。日系メーカーほどの品質を必要としないスポーツ用具の市場で求める炭素繊維の価格が下がっている」とコメントした。
繊維・製品セグメントの売上高は同35億円減の1704億円で、事業利益は同11億円減の90億円だった。同セグメントでは、北米向けのテキスタイルや、国内および中国向けの衣料品、水処理フィルター向けポリエステル短繊維と生活雑貨は販売数量が堅調だった。しかし、中国向けテキスタイルが前年度に前倒しで出荷されたため、販売数量が減少したことに加えて、拡販費用や労務費の増加などが減収の要因となった。
ヘルスケアセグメントの売上高は同9億円減の684億円で、事業利益は同17億円増の71億円だった。同セグメントでは、持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure、CPAP)装置のレンタル台数の増加や固定費削減の効果などで増益を記録した。
その他のセグメントの売上高は同52億円減の247億円で、事業利益は同22億円減の33億円となった。同セグメントでは、セパレーターとメンブレンの販売数量は堅調に推移した。しかし、アラミドペーパー事業で生じた損益の除外やグループ会社における損益の期ずれ影響などの減益要因が働いた。
足元の市況を踏まえて、2025年度通期業績の見通しに関して、事業利益は前回予想比100億円減の250億円に、親会社に帰属する当期利益は同220億円減の100億円の損失に下方修正した。セグメント別では、マテリアルセグメントの事業利益は同50億円減の30億円に、その他のセグメントの事業利益は同30億円減の15億円に下方修正した。
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