帝人とLib Workは、大空間を実現した木造住宅の展開に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結した。パートナーシップの第1弾として、木材の2倍以上の剛性を持つ部材「LIVELY WOOD」を、屋根を支える垂木として使用した木造住宅「LIVELY VILLA Noki」を展開する。
帝人とLib Workは2024年12月12日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、大空間を実現した木造住宅の展開に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。
気候変動や資源枯渇の問題が深刻化する中、日本の豊かな森林資源の活用が注目されている。森林資源の活用には適切な伐採をはじめとした森林管理が必要とされており、伐採した木の多くは木材として利用されているが、人工林の約44%を占める杉材は強度不足により、梁(はり)などの構造材への使用が限られていた。
杉材を梁に用いるには、耐震性などを確保するために多くの柱や壁で支える必要があるが、近年は柱や壁が少なく、室内を自由にアレンジできる住宅へのニーズが高まっている。そのため、森林資源の活用を促進する上で、耐震性を有しながら柱や壁が少ない木造住宅の実現が求められている。
そこで、国産木材と炭素繊維を組み合わせた高機能繊維強化集成材「LIVELYWOOD(ライブリーウッド)」を展開してきた帝人は、森林資源の有効活用や社会が求めるニーズに対応するため、建材の販売だけでなく、同社の建材を用いた空間の提供を目指すプロジェクトを立ち上げた。その一環として、帝人が企画/設計した木造住宅「LIVELY VILLA」シリーズの展開に向けて協業するパートナーを探していた。
一方、Lib Workは国産杉材の新たな需要を創出することで、日本の林業の活性化や地域経済の発展だけでなく、森林の適切な管理による環境保全にも貢献することに向けて協業するパートナーを探していた。こうした両社の考えが一致し、戦略的パートナーシップを締結した。
帝人は、提供している建材やライセンスを活用した新しい住宅の企画および設計を行う。リブワークは、独自の販売チャネルを生かし、今後帝人が企画/設計する住宅を販売する。両社は、顧客のニーズを把握し、最適なプロモーション活動を行うことでLIVELY VILLAのブランド価値向上を図る。
両社のパートナーシップの第1弾として、室内に大空間を確保するとともに、LIVELY WOODを使用することで、軒先に柱を用いずに広い軒下空間を実現した「LIVELY VILLA Noki」の展開を開始する。
LIVELY VILLA Nokiは、木材の2倍以上の剛性を持つLIVELY WOODを、屋根を支える垂木(たるき)として使用した木造住宅だ。LIVELY WOODを用いたLIVELY VILLA Nokiの構造は国土交通大臣の認定を取得している。
LIVELY VILLA Nokiのデザインは、軒先に向かって3mの深い軒下を確保しているのが特徴で、軒下が室内と屋外を緩やかにつなぎ、自然と調和した生活を実現している。
今後、Lib Workは2025年1月にLIVELY VILLA Nokiを含むLIVELY VILLAシリーズを発売する。2025年4月には、福岡県糸島市と熊本県西原村にそれぞれ1棟ずつLIVELY VILLA Nokiのモデルハウスを開設して販売する予定だ。
Lib Work 代表取締役社長の瀬口力氏は、「いずれのモデルハウスも建設を進めている。構造は平屋で、軒を3mまで伸ばし、LIVELY VILLA Nokiならではの大開口を実現する。耐震等級は3だ。間取りは福岡県糸島市のモデルハウスが1LDKで、熊本県西原村のモデルハウスは2LDKとなる。各モデルハウスの素材は、木目風やタイル風ではなく、本物の素材を採用している。キッチンにもシート材を利用せず、木材を採用し職人によって仕上げる。加えて、屋内外を同じタイルで仕上げ、空間の一体感を強調する」と語った。
両社は、LIVELY VILLA Nokiに続く新しいシリーズの展開も計画している。さらに、LIVELY VILLAブランドのプロモーション活動を行う他、国内の工務店や住宅メーカーとの連携を進めることで、2030年までにシリーズ累計で1000棟の販売を目指す。
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