逆設計に対応するIBMの「材料開発DXサービス」、JSRも採用マテリアルズインフォマティクス(1/2 ページ)

日本の製造業GDPの3割を支える「材料産業」が今、岐路に立たされている。世界的なPFAS規制の厳格化、中韓勢の台頭、そして熟練技術者の減少――。この複合的な課題の解決策として、日本IBMは「材料開発のDXサービス」の提供を開始した。

» 2025年12月19日 06時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2025年12月16日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、材料開発に特化した新サービス「IBM Material DX」の提供を開始したと発表した。

求められる材料開発のDX

 国内材料産業の国内総生産(GDP)は、日本における製造業GDPの30%以上を占める基幹産業となっている。一方、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称を指す「PFAS」や炭素繊維、フォトレジストなどに関する規制、化審法、改定薬機法などへの対応が課題となっている。

PFASの課題 PFASの課題[クリックで拡大] 出所:日本IBM

 外交/政情で生じる原材料の調達難や輸出先各国の材料内製化といった問題への対策も求められている。材料開発では現状、熟練研究者の知識/経験に依存している他、長い開発期間と開発コストの増大、急激な変化に弱いR&D体制、デジタル化の遅れなどが課題になっているケースも多い。

材料研究開発の課題 材料研究開発の課題[クリックで拡大] 出所:日本IBM

 一方、先端数理アルゴリズムやAI(人工知能)、基盤モデル、LLM(大規模言語モデル)エージェント、LLM、量子コンピュータといった次世代のコンピューティングテクノロジーが急速に進化している。

 そのため、国内の材料産業は、経験や知識をデジタル財産化して、共有および再利用できる戦略的なデジタルトランスフォーメーション(DX)により、激変する世界環境に迅速に対応可能なR&D体制の構築が求められている。

材料研究開発で求められるDX 材料研究開発で求められるDX[クリックで拡大] 出所:日本IBM

 こうしたニーズに応じるソリューションとして、日本IBMはIBM Material DXを開発した。IBM Material DXは、中長期パートナーシップをベースに、データ収集、インフラの構築、導入、メンテナンス、次世代技術を見据えた人材育成に加えて、顧客に合わせてそれぞれの強みを生かしたDXソリューションをカスタムメイドで提供する。

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