木全氏 その大きな理由としては、生産設備を見てきた人は生産設備のことは分かるが、物流の流れが分かる人は少なく、逆に物流設備を見てきた人はモノの流れは分かるが生産設備のことは分からない。生産と物流、それぞれの技術は持っている人はいるが、それらを組み合わせられる人がなかなかいない。そこをわれわれがサポートしている。
われわれが“トヨタ生産システムとは”といった解説を今さらする必要はない。皆さん、生産設備のことは分かっている。ただ、工場内の“物流の自動化”になった途端、急にハードルが上がる。
自動車部品自体の精度は決まっているが、それらを運んでいる通い箱は、サイズは同じでも、ぶつかって変形していたり、油で汚れていたりして、ばらつきがある。さらに箱そのものにも多くの種類がある。そのため、ビジョンでの認識に加えて、ロボットハンドの設計に力を入れている。
1つのラインに、さまざまな仕入れ先から数十種類、時には100種類以上の通い箱が届くケースもある。1つのハンドでどれだけ多くの種類の箱を持てるのかが重要になる。
既に、三河地域でよく使われている60種類くらいの通い箱を持てるようになっている。200種類以上の通い箱が持てるコンセプトモデルの大きなハンドもこちらに持ってくる予定だ。
MONOist さまざまな企業が自動化を提供しています。その中で、Mujinの強みとは何でしょうか。
木全氏 コア技術になっているMujinコントローラーによって稼働状態が見え、シミュレーションもできる。ロボットやAGV以外の設備も、I/Oさえ取れれば連携させることができる。
物流というのは、文字通り“モノの流れ”だ。その流れの中に、異なるベンダーをいくつも入れてしまうと、流れが分断されて見えなくなってしまう。われわれはその流れをソフトウェアで全て見る能力がある点が大きい。
私はよくスパイラルアップと呼んでいるが、設計段階でMujinコントローラーを使ってシミュレーションし、それを現場に持っていってさらに作り込んでいく。現場で問題が起きれば、それを開発や設計にフィードバックして、またMujinコントローラーに反映する。この行き来を繰り返すことでMujinコントローラーの性能が上がっていく。
例えば、SIerがユーザーに納めるシステムのためにPLCの制御プログラムを組んでいたとする。どこにノウハウがたまるかといったら、その会社にはノウハウはたまるかもしれないが、属人化するか、その会社のサーバのどこかに入っているという状態になる。
Mujinコントローラーの場合は、1つの問題を解決したら、それがMujinコントローラーに蓄積されていく。そういった設計と現場のスパイラルを繰り返して、システムがどんどん強くなっていく。
企業としても人には重筋作業をさせずに、もっと付加価値のある作業をさせたいと考えている。今、引き合いはすごく多い。今後は、われわれが今持っている技術をさらにブラッシュアップさせることが最優先だ。将来的には、工場全体のシミュレーション、見える化も狙いたい。
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