東芝は、「オートモーティブワールド[秋]2025」において、新開発のLiDARである「Hybrid-3D LiDAR」を披露した。小型かつ軽量で、遠くにある車両や歩行者などを高精細に検知できることなどを特徴とする。
東芝は、「第4回 オートモーティブワールド[秋]」(2025年9月17〜19日、幕張メッセ)において、新開発のLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)「Hybrid-3D LiDAR」を披露した。小型かつ軽量で、遠くにある車両や歩行者などを高精細に検知できることなどを特徴とする。2026年度以降に交通インフラ向けでの発売を予定している。
一般的にLiDARは、ポリゴンミラーをモーターで駆動してスキャニングを行うメカニカル方式と半導体素子を用いるソリッドステート式に分けられる。Hybrid-3D LiDARは、赤外線を照射する投光系にメカニカル方式を、受光系には独自開発の素子を採用したソリッドステート式を用いるハイブリッド式を特徴としている。
今回展示した試作品は、外形寸法が高さ171×幅55×奥行き130mmと手のひらに乗るサイズにLiDARのシステムが収められている。重量は、投光系が1つの仕様が600g、より長距離の検知が可能な投光系が2つの仕様が900g。さらに、検知範囲が水平方向62度/垂直方向34度の標準タイプと、同34度/17度の長距離タイプがあり計4品種をそろえている。
投光系が2つで長距離タイプの場合、自動車サイズの物体の検知が可能な距離は350mに達する。分解能も1.2cmと高精細だ。消費電力は、投光系が1つの仕様で6W、2つの仕様で9Wに抑えている。「LiDARからデータ収集を行うイーサネットには電力供給も可能なPoE(Power over Ethernet)を採用しており接続ケーブルは1本で済ませられる」(東芝の説明員)。
また、Hybrid-3D LiDARは、雨や霧、みぞれ、雪などの天候ノイズを自動除去する「天候ノイズ除去」や、LiDAR単体で取得できる2Dの赤外画像と3Dの距離情報を融合して夜間に無照明でも99%の精度で車両や歩行者を認識/追跡できる「フュージョンAI」といった汎用ミドルウェアも提供している。「天候の影響によるノイズを除去しつつ、カメラを使わず無照明でも空間情報を長距離かつ高精度に取得できる点からも、まずは交通インフラ向けに提案していきたい。ただし、LiDARとしてはさまざまな用途に適用可能であり、応用範囲を広げていくことも検討している」(同説明員)という。
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