図9はコールドチャンバー方式のダイカスト用鋳造機の外観の一例である。主に、型締装置、圧入(射出)装置、押出装置、給湯装置などから成っている。
型締装置は、金型の型締めと開閉動作を行うもので、金型を開閉し、溶融金属を充填する際に金型を固定する。主に固定ダイプレート、可動ダイカストプレート、タイバーから構成されている。ダイカスト用鋳造機の能力は、射出成形機と同様に、この型締力の大ききとその投影面積に深い関係がある。また、型締め方式には、トグル式、直圧式、複合式がある。
圧入(射出)装置は、溶湯をキャビティに送り込むためのもので、溶融金属を高圧で金型内に射出する装置である。シングルシリンダ式、高速圧入式、増圧圧入式などがある。
押出装置は、鋳造された製品を金型から取り出す装置だ。射出成形機のエジェクタ(取り出し)装置に相当するもので、油圧ラム式、油圧シリンダー式、機械式がある。
給湯装置は、鋳込みシリンダーに溶揚を供給するもので、空圧式と機械式がある。
ダイカスト用鋳造機には、ダイカスト鋳造の原理で紹介したようにコールドチャンバー方式とホットチャンバー方式がある。
図8で示したように、金属溶解るつぼ(メルティングポット)で溶解した溶湯を、ひしゃく(ラドル)や自動給揚装置で機械の圧力シリンダーにくみ入れる方式である。機械各部の名称を図10に示す。
繰り返し可能な鋳造回数は、1時間当たり100回程度を目安としており、鋳造圧力は400〜1000kg/cm2程度とするのが一般的である。
溶融金属は、アルミニウム、マグネシウム、銅などの合金を用いており、比較的融点の高い金属である。
なお、コールドチャンバー方式によるダイカストのモノづくり工程の詳細は、以下に挙げるリョービのYouTube映像で確認できる。
図11に示すように、溶解るつぼが鋳造機に付帯設置され、溶湯が自動的に圧力シリンダーに流入するようになっている。この方式の鋳造圧力は70〜300kg/cm2程度とコールドチャンバー方式の約5分の1と低い分、繰り返し可能な鋳造回数は1時間当たり300〜1000回程度まで稼げる。
溶融金属は、融点の低い亜鉛、スズ、鉛などの合金である。
なお、ホットチャンバー方式によるダイカストのモノづくり工程の詳細は、以下に挙げるリョービのYouTube映像で確認できる。
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