ダイカスト型の基本的な金型構造を図12に示す。その横造は主として主型(おもがた)、中子、入れ子、押出(エジェクト)板の他に、ガイドビン、ガイドブッシュ、押出ビン、アンギュラビンなどから成る。主型には固定ダイプレートと可動ダイプレートがあり、これら2つのプレートによって製品形状となるキャビティ(隙間、間隙、空洞)を作っている。
図12では示しにくいダイカスト型の構造の特有の湯道(ランナー)、キャビティ(製品形状)、湯口、湯だまり、ガス抜きの位置関係と各部の名称を、ダイカスト型における型開きしたときの状況を図13に示す。湯道、キャビティ、湯口、湯だまり、ガス抜きは固定ダイプレートにも設けられている。
ダイカスト型は主に以下の3つの方法で分類される。
ここでは紙面の関係で、型込め数と金型構造による分類について見ていく。
一般にダイカスト型は、図14に示すように型込めの数によって主に次の3つに分けられる。
均一な製品を得るには、キャビティにムリムラ、ムダなく溶湯が入るように、湯道や湯口あるいは湯だまりなどの形状、大きさ、そして溶湯の流動方向などを考慮してバランスの良いものにすることが大切である。
ダイカスト型の金型構造は、(i)直彫り(じかぼり)金型、(ii)入れ子金型(はめ込み型)、そして(iii)ユニット金型の3つに分けられる。
直彫り金型は、2枚のダイブロックに直接キャビティを形彫りする金型である。図19にその構造を示す。
主として小型の金型に用いられる。大型の金型の場合、熱処理歪みの影響でガイドビン穴のピッチが変化するため使用されない。
図16に直彫り金型(部分)による製品例を示す。
これらは自動車のAT(自動変速機)の部品である。これらの部品の金型は全て直彫りではないが、3次元になっているファン形状や溝形状の一部は直彫りになっている。
もちろん、これらの部品は回転するため、回転ムラなどのないように厳しい精度が要求される。また、油を媒体とした変速用の回路になっている部品の溝形状の溝も、一定の油が流れるように厳しい精度が求められる。ダイカスト型はこのような箇所まで適用されている。
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