インターポーザが大型化して、i線露光装置における1回の露光サイズ以上の大きさとなると、複数のフォトマスクを用いてつなぎ合わせ露光する必要があり、つなぎ合わせ部分に回路の位置ずれが生じる可能性がある。
また、i線露光装置は焦点深度が狭いため、有機材ならではの基板の反りや表面粗さに加え、配線接続用のブリッジチップを樹脂で封止する過程で起こる位置ずれ(ダイシフト)への対応が難しいという課題もあるという。大型パネル化する中で、各種のパネルサイズに対応した装置の開発なども必要になる。「もともとi線露光装置はウエハー向けの装置であり、そのままでは角型のパネルには使えない」(中澤氏)。
今回、オーク製作所では複数の露光ヘッドの間における微細回路の高度なつなぎ合わせ技術を開発した。「重なった部分の線幅が太くならないように、ソフト的に制御している。パネル全体で補正をかけられるのでインタポーザが大型化しても制約はない」(中澤氏)。
1μmの解像性能を持った光学系を新たに開発し、有機材上で線幅2μmの銅めっき配線形成が実現可能になった。「シリコンなら1μmや2μmは当たり前だが、有機材上では非常に難易度が高かった」(中澤氏)。
有機材の基板の伸縮に応じて露光するデータを補正するため、高精度で繰り返し再現性に優れた本体ステージとともに、基板上のアライメントマークを読み取る高精度カメラでのリアルタイム位置補正技術を開発した。これにより、510×515mmの露光サイズ全面に対して、0.5μmの精度で回路パターンの配置が可能になった。
また、このリアルタイム位置補正技術を応用して、基板上に再配置された個別のダイの実際の位置を正確に検出し、焼け付けるパターンをその位置に整合するように補正するダイバイダイアライメント補正技術を開発した。
オーク製作所ではダイレクト露光装置「SDiシリーズ」として展開する。既に510×515mmのパネル量産向けに、露光ヘッドがh線(波長405nm)で微細RDL形成用の「SDi-1050h」と、i線(波長375nm)で絶縁材微小ビア形成用の「SDi-2050i」の受注を開始しており、2025年度中の出荷を目指している。「半導体メーカーや基板メーカー、液晶パネルメーカー、材料メーカーなど約30社から引き合いが来ている。初号機の納入先は台湾もしくは韓国になる見込みだ」(中澤氏)。2026年度には、径300mmのウエハーや310×310mmパネルの対応モデルもリリースする予定だ。
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