本連載第120回で第2次トランプ政権下の公的医療保険改革を取り上げたが、それ以降もデジタルヘルス活用の取り組みがさらに加速している。
本連載第120回で第2次トランプ政権下の公的医療保険改革を取り上げたが、それ以降もデジタルヘルス活用の取り組みがさらに加速している。
米国保健福祉省(HHS)傘下の長官補室技術政策担当/国家医療IT調整室(ASTP/ONC)は、2025年7月2日に公開したブログの中で、米国における医療のデジタル化の進捗状況について説明している。直近の「全国健康情報動向調査(HINTS 7)」(関連情報)のデータによると、2024年には全国の個人の4分の3以上(77%)が自身の健康情報へのオンラインアクセスを提供されており、これは2022年の73%から4%増加している。また、約3分の2(65%)が過去1年間に少なくとも1回はオンラインで情報にアクセスしており、こちらも2022年の57%から8%増加している。このように、アプリケーションやWebベースの患者ポータルを通じた医療記録へのオンラインアクセスは堅調な増加傾向を示している。
図1は、2024年において、過去1年間に自身の医療記録をオンラインで閲覧した個人の頻度(全体および慢性疾患を管理している人や最近がんと診断された人の間で)を示したものでる。
最近がんと診断された人や慢性疾患の人では、アクセス率はさらに高くなっていることが分かる。また、2024年には、約3分の1(34%)が「頻繁な利用者」(過去1年間に6回以上アクセス)であり、これはパンデミック前の2019年の15%から2倍以上の増加となっている。慢性疾患を持つ人では38%、最近がんと診断された人では54%が頻繁な利用者となっていた。
次に図2は、2012〜2024年の個人によるヘルスITの利用動向を示している。
2024年に最も一般的に利用された機能は、結果の閲覧(90%)と診療記録の閲覧(80%)だった。また、医療機関とのメッセージ交換(79%)や受診予約(77%)も4人に3人以上の利用率を示している。他方、情報のダウンロード(32%)や第三者への転送(21%)、情報の追加(25%)、誤りの訂正(10%)などの機能はあまり利用されていないことが分かる。
このような個人によるオンラインアクセスと利用の増加は、本連載第111回で取り上げたASTP/ONCによる21世紀治療法に基づく改正版医療データ相互運用性最終規則や医療IT認証プログラムを通じた経済インセンティブなど、継続的な医療IT促進施策によるところが大きいとしている。
そして2025年7月10日、米国上院歳出委員会が、2026会計年度の「立法府歳出法案」を承認して(関連情報)、デジタルを活用した健康医療イノベーション推進策も一気に動き出した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.