製造業の経済安保対応、サプライチェーン多元化が進む一方で未対応も「約6割」ものづくり白書2025を読み解く(3)(3/3 ページ)

» 2025年08月01日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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リスク分析の対象は「サプライチェーン」が7割以上

 「経済安全保障に関する観点のリスク分析」を「実施している」とした回答をさらに深掘りする。どういう観点でリスク分析を行っているのかという問いに対し72.6%が「自社の事業に関わるサプライチェーン」と回答した。次いで「各国の輸出管理を含む規制や政府支援の政策動向」(58.2%)、「各国、地域の地政学環境」(48.8%)が続いている。

photo 経済安全保障に関するリスク分析を行っている観点[クリックで拡大] 出所:2025年版ものづくり白書内のアクセンチュア「令和6年度製造基盤技術実態等調査(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

 リスク分析の対象期間としては「2〜5年程度」を見通して実施している企業が最も多かった。一方で、6年以上の長期目線での分析を実施している事業者は、1割程度にとどまっている。

photo 経済安全保障に関するリスク分析の見通し期間[クリックで拡大] 出所:2025年版ものづくり白書内のアクセンチュア「令和6年度製造基盤技術実態等調査(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

  さらに「自社の事業に関わるサプライチェーン」について、意識しているサプライチェーンの範囲を聞いた。その結果、川上側、川下側ともに、直接の取引先、または2〜3社先までの把握にとどまっている事業者がそれぞれ5割弱を占めた。4社以上先まで考えてリスク分析を行う企業は川上側、川下側ともに1割未満となっている。

photo リスク分析上意識しているサプライチェーンの範囲[クリックで拡大] 出所:2025年版ものづくり白書内のアクセンチュア「令和6年度製造基盤技術実態等調査(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

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