DNPは、酸素や水蒸気に対する高いバリア性能と遮光性能を備えたモノマテリアル包材を実現する「DNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様」を開発した。
大日本印刷(DNP)は2025年7月8日、単一素材(モノマテリアル)で構成されリサイクルしやすい「DNPモノマテリアル包材」に適したポリプロピレン(PP)フィルムを基材に、アルミ蒸着を施し酸素や水蒸気に対する高いバリア性能と遮光性能を備えた「DNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様」を開発したと発表した。
DNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様は、DNPが展開している従来のモノマテリアル包材と比べて、酸素や水蒸気に対するバリア性能が約2倍だ。アルミ蒸着によって遮光性能も有しているため、医薬品、化粧品、食品のパッケージでバリア層にアルミ箔が利用されているものをモノマテリアル包材に切り替えられる。
加えて、アルミ箔を用いたパッケージと比較して製造時のCO2排出量を減らせる。DNPの調べによれば、バリア層をアルミ箔からDNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様へ置き換えたモノマテリアル包材は、製品の原材料調達から製造、輸送、廃棄までのライフサイクル全体でCO2排出量を約19%削減できる。需要が増え価格も高くなっているアルミ箔の調達リスクも低減可能で、医薬品、化粧品、食品などのメーカーは包材を確保しやすくなる。
DNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様を使用したピロー袋と、PPを用いたモノマテリアルPTPを組み合わせることで、包材全体のモノマテリアル化も行える。
今回のフィルムを用いたDNPのモノマテリアル包材は、フィルムを基材とする軟包装の分野で欧州における循環型経済の実現を目指すコンソーシアム「CEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)」のガイドラインに準拠している。このガイドラインは、軟包装におけるリサイクル性の指標の1つとして「単一素材(PEやPP)の比率は99%以上にすること」などを掲げ、再資源化しやすい軟包装の開発を推奨している。
今後、DNPはDNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様を医薬品、化粧品、食品などのメーカーや、欧州に商品を輸出する企業に提供していく。
欧州連合(EU)では2025年2月に、包材の廃棄物削減を目的に「包装/包装廃棄物規則(PPWR)」を発効した。PPWRの発効により、リサイクル性能等級が70%以上などの要件を満たしていない包材は2030年以降に欧州市場で販売できなくなる。そのため、欧州市場を中心にモノマテリアル包材の採用が加速している。
こういった状況を踏まえて、DNPはDNP ハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様を開発した。このフィルムがCEFLEXのガイドラインに準拠するため、同社は将来的に策定されるPPWRの基準にも対応すると想定している。
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