日立GLSは温暖化係数0のグリーン冷媒採用 2027年頃製品投入へ、空調IoTも訴求FOOMA JAPAN 2025

日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)は、食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」において、グリーン冷媒であるR474Bの採用に向けて開発中のコンデンシングユニットを訴求した。2027年頃より順次製品を投入するとしている。

» 2025年06月25日 08時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)は、食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」(2025年6月10〜13日、東京ビッグサイト)において、グリーン冷媒であるR474Bの採用に向けて開発中のコンデンシングユニットを訴求した。2027年頃より順次製品を投入するとしている。

GWPが0のグリーン冷媒R474B採用、空調IoTでは省エネ制御導入へ

R474Bを採用したコンデンシングユニットを開発中 R474Bを採用したコンデンシングユニットを開発中[クリックで拡大]出所:日立GLS

 地球温暖化の防止に向けて、2016年にモントリオール議定書のキガリ改正が採択され、高い温室効果をもたらすHFC(ハイドロフルオロカーボン)の生産/消費の段階的削減が義務付けられた。日本を含む先進国では、2036年までにHFCの生産/消費を段階的に85%削減することを目標としている。

 目標達成のためには、超低GWP(地球温暖化係数)のグリーン冷媒および対応機器の開発が欠かせない。GWPはCO2を1として温暖化に与える影響を示す数値だ。R474BはHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を使っており、GWPが0で環境負荷を大幅に低減する。R474Bを使用した機器はフロン排出抑制法の対象外となるため、点検整備記録簿の保存や漏えい量報告などの法的対応が不要だ。

 コンデンシングユニットは圧縮機、凝縮機、受液機などをユニット化したもので、室外機に相当する。経済産業省では、業務用冷凍空調機器や家庭用エアコンに関して、2036年にGWPを10程度以下の冷媒にすることを目指しているが、日立GLSでは先駆けてR474Bに対応したコンデンシングユニットを2027年頃より順次投入する。設計圧力がHFC冷媒R404A、HFC冷媒R448Aと同等なため、HFC機器の既設配管の利用(リプレース)が容易で据え付け工事のコスト削減などにもつながるとしている。ただ、R474Bは微燃性のため漏えい検知器が必要となる。

 「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」では、開発中のコンデンシングユニットが、会場内のコンビニエンスストアで商品陳列用の冷蔵ケースと組み合わせて使用されている。

 その他、同社の空調IoT(モノのインターネット)ソリューション「exiida(エクシーダ)」も紹介した。空調/冷凍機器の遠隔監視や予兆診断、スクリュー圧縮機の遠隔監視/稼働音診断などを提供している。

空調IoTソリューション「exiida」の概要を展示 空調IoTソリューション「exiida」の概要を展示[クリックで拡大]

 2024年からは空調機器において、稼働情報や気象条件などを基に、AI(人工知能)を活用して室内の快適性を損なわずに、目標デマンド値を超えないように空調を制御するデマンド制御ソリューションを開始した。「明日は気温が上がりそうだから、朝からエアコンを稼働させることで電気使用量を平準化させ、ピーク電力が大きくならないようにするといった制御もAIの活用で可能となっている」(日立GLSの説明員)。

 ピーク電力削減のニーズは空調を使う夏場や冬場に集中する。そこで、2026年からは、電気料金の従量料金(使用分)抑制に貢献する省エネ制御も開始する予定だという。省エネ制御では、デマンド制御を実施していない時間に、全体的にあらかじめ設定した目標省エネ率に沿って消費電力を下げる制御を室内ユニットで行う。

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