楽塗(らくと)は、建物の暑さ対策として反射シートと遮熱塗料を組み合わせた「スカイ工法」を提案している。施工会社として、建物の構造や現場の条件に応じた柔軟な断熱対策を提供するのが特長である。
同社が展示したアルミ製の「スカイシート」は、日射熱を高純度アルミで効率的に反射するもので、屋根に貼り付けるだけで屋根表面温度を約20℃低減できる。真夏には60℃近くまで上昇する屋根表面温度が40℃前後に抑えられ、屋内の熱環境改善に貢献する。
さらに、トヨタ自動車と信越化学が共同で設立したアドマテックスが開発した、特殊セラミックを含有する遮熱塗料「エシカルプロクール」も展示。反射と放熱の二重の効果で熱侵入を抑制し、塗装のみで高い断熱性能を実現する。これらの製品は単体でも使用可能だが、現場の状況に応じて最適な組み合わせを選定できる点が最大の強みである。
施工会社としての経験と判断力を生かし、見た目の性能値だけでなく「現場に合った施工」で差別化を図る同社の姿勢が、多くの来場者の関心を集めていた。
化学品専門商社である昭栄薬品は、排水処理現場の効率化と省エネを両立する散気装置「アクアブラスター」を出展した。
化学系の製造現場では、排水処理に微生物の力を活用する生物処理が一般的だが、酸素供給不足により微生物の働きが低下し、処理能力の低下や悪臭の原因となることが課題だった。「アクアブラスター」は水中への酸素供給効率を高めるとともに、内部の突起で油分などの有機物を物理的に細かく砕く構造を採用。微生物が分解しやすい状態をつくり、処理性能を大きく向上させる。
さらに従来装置に比べて詰まりにくく、空気損失が少ない設計により、最大で電力使用量を45%削減。既存装置からの置き換えであっても、初期投資を数年で回収できるという。
排水処理は製造業において軽視されがちだが、法規制への対応や安定操業のためには欠かせない分野である。昭栄薬品は「目立たないが不可欠な設備」に革新をもたらす提案を続けている。
エプソン販売は、使用済みコピー用紙をオフィス内で再生紙に変える装置「PaperLab(ペーパーラボ)」を展示した。環境配慮型オフィスの実現をテーマに、紙の循環利用とセキュリティ対策を両立する次世代機として注目を集めた。
PaperLabは、廃棄された紙を水を使わずに繊維化する「ドライファイバーテクノロジー」を搭載。情報を完全に抹消しつつ、ノリの役割を果たす結合剤を加えて加圧成形することで、新たな再生紙へと生まれ変わらせる。印刷インクなどの異物も除去され、白く清潔な紙をオフィス内で再生できる。
最新モデル「Q-5000」は、A4サイズ用紙専用のコンパクトタイプで、再生紙には「R100マーク(再生紙100%)」の表示が可能となっている。
PaperLabで再生紙に変える際、機器内の湿度を保つために少量の水を使用する。なお、『Q-5000』では、繊維化した古紙を結合する繊維結合の際にも少量の水を使用するという。
導入による直接的なコスト削減以上に、CO2排出の実質ゼロ化、森林資源や水資源の節約、機密保持、企業ブランディングといった多方面でのメリットが期待される。製造業や金融機関、自治体など、紙使用量の多い業界を中心に普及が見込まれる。
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