2025年1月22〜23日にマイドームおおさかで開催された「AI博覧会 OSAKA2025」のレポートをお届けする。今回、関西初開催となったAI博覧会の中から、製造業と関係が深い展示を中心に紹介する。
AI(人工知能)技術の進化はとどまるところを知らない。その最前線を体験できる「AI博覧会 OSAKA2025」が、2025年1月22〜23の2日間、大阪で初めて開催された(会場はマイドームおおさか)。博覧会には、40社が最新のAI技術やユースケースを出展。2日間で3393人の来場があり、関西圏におけるAIの普及を促進する一大イベントとなった。
イベントを主催するAIsmileyは2018年の創立以来、AIを導入したいユーザーとAI技術を提供する企業のマッチングを手掛けてきた。その中で蓄積した膨大なデータとノウハウを生かし、AI技術の普及を目的とした展示会を2024年3月と8月に東京で開催し成功を収めた。この実績を基に、大阪での開催に対する強い要望に応え、今回の「AI博覧会 Osaka2025」が実現した。
展覧会では、製造業や小売業、教育、医療といった幅広い業界でのAI活用がテーマとなった。出展された技術の中には、生成AIを活用した議事録の自動要約、営業支援ツールの導入、製造業における画像認識技術の進化など、業種に特化したユースケースが数多く紹介されていた。
本稿では、製造業と関係が深い展示を中心に紹介する。
「ailia SDK」は、Axellが開発したエッジで推論を行うAIソフトウェアを開発するための開発環境だ。
ailia SDKの最大の特徴は、その柔軟性と効率性にある。Windows、Mac、LinuxといったPC環境だけでなく、iOSやAndroidを用いたモバイル端末、さらに専用の組み込み基盤にも対応している。これにより、監視カメラや検査装置など、さまざまな業務機器でのAI活用を可能にするという。
製造業の現場では、低消費電力と発熱抑制が求められる場面が多い。ailia SDKはこの課題を解決し、製造ラインでの不良品検出や検査装置での精密データ分析に役立てられている。また、NVIDIAのGPU向けに開発したAIモデルを他デバイスへ容易に実装できることも大きな利点だ。
Axellによると、ailia SDKはAI処理の効率を高めることで、導入コストを抑え、企業のAI活用を後押ししているという。
KKジェネレーションは、建設業や製造業における図面処理を効率化するAIソリューションを提供している。同社が開発した3つの主力プロダクトは、図面処理における課題を解決し、人手不足が深刻化する業界を支えているという。
1つ目は「図面トレースAI」である。PDFや紙の図面から必要な線や寸法を抽出し、CADデータに変換することで、従来多くの時間がかかっていた手動入力作業を大幅に短縮できる。2つ目は「積算AI」で、図面内の部品数や面積、長さを自動的に算出。建設業や製造業での効率的な資材調達をサポートする。3つ目の「詳細チェックAI」では、図面同士や見積書と比較し、変更点や不一致を検出する機能で、ミスを減らすサポートを提供するそうだ。
これらのAI技術は、機械学習やLLM(大規模言語モデル)を活用し、高い精度を実現している。特に企業ごとにカスタマイズされた調整により、90〜100%の精度を達成。現場からは「積算作業の工数を8割削減できた」と高い評価を得ているそうだ。
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