SPACECOOLが開発、販売する放射冷却素材「SPACECOOL」は、空調に頼らず温度上昇を抑えるゼロエネルギー冷却技術である。
同製品は、太陽光を95%反射する遮熱性能と、素材に蓄えた熱を光に変換して放出する放射冷却性能を併せ持つ。この“熱の収支がマイナスになる”仕組みにより、通常の遮熱素材よりも高い冷却効果を発揮する。建物の屋根や工場、屋外機器への施工によって、室内温度の上昇や機器の劣化を防ぎ、空調エネルギーの削減にもつながる。
印刷工場での導入事例では、空調のない2階部分の温度が44℃から34℃まで低下し、溶剤の揮発も抑制されたという。さらに、防水シートとの一体型製品や、マグネットで貼れる簡易型も用意され、用途や建材に応じた柔軟な施工が可能となっている。
「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」では、ガスパビリオンの外装にも採用され、一般消費者への認知拡大も進む。グッドデザイン賞も受賞し、SPACECOOLを活用した日傘が制作されるなど、法人、個人を問わず注目される次世代冷却素材だ。
工場や倉庫で多く使用される金属折板屋根は、耐久性に優れる一方で、夏場は屋根が高温になり室内の温度上昇を招き、冬場は冷え込むという課題があった。
この課題に対して、サワヤが提案するのが、屋根用遮熱シート「冷えルーフ」である。素材はポリエチレンで、屋根の上に貼ることで日陰をつくり、屋根とシートの間に空気層を確保。これにより断熱効果が得られ、室温を3〜5℃下げることが可能になるという。
空調効率が向上することで、エアコンの設定温度を見直すことができ、省エネ効果にも寄与する。実際、設定温度を1℃上げるだけで電気代は約10%削減されるとされており、企業の電力コスト削減にも直結する。
2006年の販売開始以来、導入実績は全国で2300件を超える。施工が容易で、1000m2規模なら5〜6人で1日で完了するという点も大きな利点だ。現在は省エネやカーボンニュートラルへの関心の高まりを背景に、問い合わせも急増しているそうだ。
アステックペイントは、遮熱塗料の分野で6年連続国内出荷金額1位を誇る専門メーカーである。今回の展示では、夏場の工場や倉庫の高温化対策として注目される遮熱塗料を紹介した。
同社の塗料は、太陽光の赤外線を効率的に反射し、屋根表面の温度を最大20℃低下させる効果がある。波型スレートや鉄板屋根など、実際の現場での測定でもその性能が確認されている。また、断熱層のない建屋であっても、地上1.5mの作業空間で平均3℃の温度低下が実証されており、熱中症リスクの軽減や作業環境の改善に貢献している。
製品バリエーションも豊富で、耐用年数や防水性能を備えたタイプなど、10種類以上の遮熱塗料をラインアップ。建屋の材質や用途、劣化状況に応じた最適な提案が可能である。さらに、無料の温度測定サービスも提供しており、導入前の検証ニーズにも対応している。
遮熱性能だけでなく、メンテナンス効率や環境負荷軽減といった多角的な価値を提供するアステックペイントの塗料は、工場の「塗ってできる省エネ対策」として注目を集めていた。
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