シュナイダーが、SDAを実現するバーチャルPLC(プログラマブルロジックコントローラー)として位置付けているのが、「EcoStruxure Automation Expert」だ。
「デロイト トーマツ イノベーションパーク」のスマートファクトリーエリアにあるデモラインには、このAutomation Expertの他、生成AIがプログラミング開発をサポートする「Automation Application Copilot」、デジタルツインによる設計、検証を高速化するEcoStruxure Machine Expert Twin」など同社のソリューションが導入され、SDAを体感できるようになっている。
シュナイダーエレクトリック インダストリー事業部 バイスプレジデントの角田裕也氏は「日本では主にラダー言語で制御機器がプログラムされているが、書き方がメーカーごとに異なっている。さまざまなメーカーのPLCがある現場だと、それらがまるでばらばらの言語で書かれた状態になっている。Automation Expertではばらばらだったものを1つにしようとしている。ファンクショナルブロックダイヤグラムを使うことで、プログラムをより簡単に作れるようになり、生成AIなども活用しやすくなる」と話す。
デモラインは工場における部品組み立て工程を模してあり、ロボットなどが部品の圧入や組み立て、検査などを行っている。従来なら複数台のPLCが必要だが、小型のデータセンターが設置してあり、そのエッジサーバ上にバーチャルPLCやその他ソフトウェアを格納し、仮想環境に統合している。
Automation Application Copilotは、作業者がチャットで分からないことを聞くと、生成AIが回答してくれる他、装置の仕様書などを学習させれば制御プログラムを生成することも可能になっている。
Automation Expertは既に国内の自動車関連の工場で導入事例があるという。従来の工場では、工程ごとにコントローラーや表示器が置かれていたが、“可能な限りハードウェアを減らしたい”というユーザーの要望を受けて、バーチャルPLCなどを導入し、既設のラインにあったハードウェアを大きく削減することに成功した。「ハードウェアがなくなることによるコスト削減に加えて、メンテナンスコストの削減にもつながる。OTの制御プログラムを作る人材が減り続けている中で、SDAによってITの人材も活用できるようになる」(扇芝氏)。
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