太陽インキ製造や海外子会社が進める太陽ホールディングスのエレクトロニクス事業では、直接の顧客だけでなく、半導体製造の後工程(半導体の組立とテスト)を専門に行う企業(OSAT)や最終製品メーカーなどのサプライチェーンメーカーと連携して、製品開発をグローバルに展開している。
InnoValleyでは、マーケティングから基礎研究、製品開発までを一貫して行うことで、的確にニーズを捉え、スピーディーに製品開発が行える。同センターでは、営業/マーケティング部門が中心となり、市場のニーズの先取りや各社の要求に沿った製品の供給、材料認定の取得も推進している。その結果、半導体パッケージ基板用部材や車載用基板、電子部品などへの採用につなげている。
宮部氏は「2024年4月に開設されたInnoValleyだが、製品化できたのはまだHSP-10 HC3Wのみだ。今後は年間で2〜3個の新製品を開発できるようにしていきたい」と意気込みを語った。
太陽ホールディングスのエレクトロニクス事業の売上高における海外比率は96%で、中国、韓国、台湾を中心に売上高を伸ばしている。
太陽ホールディングス 上席専務執行役員 エレクトロニクスカンパニー CTOの峰岸昌司氏は「特に売上高が好調なのは当社がグローバルでシェア1位(富士キメラ総研調べ)を獲得しているソルダーレジストだ。中国では低価格なソルダーレジストによりシェアを少しづつ奪われているが、当社のソルダーレジストは品質が評価されスマートフォン向け半導体などの高価格帯の製品ではしっかり採用され続けている」とコメントした。
さらに、海外売上高のうち59%を占める中国の蘇州には2023年に太陽ホールディングスグループ海外初の研究開発センター「太陽油墨」を開設し、中国顧客のニーズに合わせた製品開発が行えるようにしている。また、エレクトロニクス事業では年間で売上高の7.6%程度を研究開発費として充当し新製品の創出を加速している。
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