富士フイルムビジネスイノベーションは、紙さばき作業自動化のロボットシステム「Revoria Kamisa PH12」を発表した。刷本をロボットハンドがつかみ、さばきながら紙そろえ機へ運び、断裁前の紙そろえまでを自動化する。
富士フイルムビジネスイノベーションは2025年4月16日、大判サイズの刷本の束の紙さばき作業を自動化するロボットシステム「Revoria Kamisa PH12」を発表した。発売は同年7月1日で、価格はオープン。ヨーロッパや北米、アジアパシフィック地域での販売も予定している。
Revoria Kamisa PH12は、複雑な動きを自律制御する「ロボットアーム12」、紙種やサイズに応じて適した力で紙をつかむ「ロボットハンドPH」、左右のアームとハンドの動作を制御する「ロボットコントローラー1000」、周辺機器で構成される。
例えば、昇降機に載った刷本をロボットハンドがつかみ、さばきながら紙そろえ機へ直接運ぶことで、断裁前の紙そろえまでの作業を自動化できる。
ロボットアームは双腕が協調して動作し、大判用紙がたわんでも確実につかみ、しなやかに持ち上げて次工程に渡す。6軸垂直多関節型となっており、プログラミングによって微細な角度の曲げ伸ばし、回転、ひねりなどの動きを自在に操作できる。
ロボットハンドは、停止位置、加減速、トルクを高精度に制御できるサーボモータを搭載。多様な紙種やサイズに適した力で用紙をつかみ、熟練した人の手と同じように力を加減してハンドリングできる。先端にはイオナイザー(除電器)を搭載し、用紙をひねりながら、8つのエアノズルからイオンを含んだ風を用紙間に放出して静電気を除去する。3Dセンサーが用紙表面の凹凸や波形を読み取り、用紙を確実につかむことができる。
ロボットコントローラーは、産業用ロボットの安全性規格認証であるISO10218とJIS B8433を取得。セーフティースキャナーなどの各種安全センサーと連動する。
印刷製造工程では、静電気や印刷表面のインクやトナーによって用紙同士が貼り付かないように、印刷後の用紙断裁に入る前の工程で、積載された刷本の束を複数回に分けて持ち上げて風を入れ、紙そろえ機へ運んでそろえる紙さばきが必要になる。この工程をRevoria Kamisa PH12によって自動化することで、生産ラインの省人化と属人的なスキル依存解消を図るとしている。
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