富士フイルムは、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズの静岡拠点と大分拠点で半導体材料向け設備の増強を行う。設備投資の総額は約200億円だ。
富士フイルムは2024年9月30日、半導体材料事業をさらに拡大する目的で、静岡県と大分県の開発/生産拠点において、先端半導体材料の開発、生産、品質評価などの設備を増強すると発表した。設備投資の総額は約200億円だ。
具体的には、同社の半導体材料事業で中核会社に位置付けられている富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)の静岡拠点(静岡県吉田町のFFEM静岡工場内)と大分拠点(大分市)で半導体材料向け設備の増強を行う。
静岡拠点では、極端紫外線(EUV)向けフォトレジストをはじめとする先端レジストと、イメージセンサー用の特殊効果材料「Wave Control Mosaic」の開発、生産、品質評価の機能を強化するために約130億円を投資し、新棟を建設する。新棟内にはクリーンルームを設置する他、最新の検査装置なども導入。これらにより、開発のスピードアップや生産能力の拡大、品質評価体制の拡充を実現する。
大分拠点では、約70億円を投資し既存の工場に隣接する土地に新棟を建設。加えて、半導体製造プロセスの基幹材料であるポストCMPクリーナーの生産設備や検査装置を導入し、大分拠点での生産能力を約4割拡大する。
ポストCMPクリーナーは、研磨剤であるCMPスラリーを使用した後の半導体の金属表面を保護しながら、粒子や微量金属、有機残留物を洗浄する材料だ。米国の調査会社であるLinx Consultingのレポートによれば、その市場規模は年率9%で成長すると見込まれている。
今回の設備増強によりポストCMPクリーナーの安定/迅速供給などを実現することで、富士フイルムおよびFFEMは半導体材料事業の拡大を図る。
なお、静岡拠点の新棟の稼働開始は2025年秋を、大分拠点の新棟の稼働開始は2026年春を予定している。
近年、第5世代移動通信システム(5G)と第6世代移動通信システム(6G)による通信の高速/大容量化、自動運転の拡大、AI(人工知能)およびメタバースの普及などを要因に、半導体の需要拡大と高性能化が見込まれている。
このような中で、半導体製造プロセスで使用する半導体材料に関しては、高品質/高性能な製品をグローバルで安定的に供給することが重要となっている。
富士フイルムでは、フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー、薄膜形成材、ポリイミドなど、半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料に加え、Wave Control Mosaicなどをグローバルに展開。また、国内外で生産拠点への設備投資を行っており、半導体材料の生産能力拡大を進めている。
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