発表時のリリースによると、3D UNIV+RSESは3DEXPERIENCEプラットフォームの知的財産(IP)ライフサイクル管理機能「POWER’by」の中核に、複数の生成AIを組み込んだ新サービスとあるが、果たしてどのようなことを実現できるのか。3D UNIV+RSESは次の7つの柱で構成されているという。
7つの柱とは、(1)バーチャルツイン、(2)エクスペリエンス、(3)ジェネレーティブエクスペリエンス、(4)バーチャルコンパニオン、(5)サイクルオブライフ、(6)センスコンピューティング、(7)ナレッジ/ノウハウのためのプラットフォームだ。
シャーレス氏によれば、これら7つの柱はクラウドネイティブな設計になっており、マイクロサービスとして3DEXPERIENCEプラットフォーム上に実装されているという。そして、「現在、それらが徐々に明らかになり、ユーザーの目に見える形で提供されつつある」(シャーレス氏)とのことだ。
このうち、特筆すべきもの(具体的に公表されつつあるもの)がジェネレーティブエクスペリエンスと、バーチャルコンパニオンだ。なお、センスコンピューティングについては前述のApple Vision Proを通じた新たな没入体験が該当する。
ジェネレーティブエクスペリエンスとは、組み立て要件、設計、テスト検証などをAI駆動で自動化するもので、設計プロセスの最適化、製造プロセスのシミュレーション、リアルタイムの品質管理などに活用できるものだという。「既に、自動車のドアパーツをAI機能で自動設計する仕組みなどが誕生している」とシャーレス氏は説明する。
バーチャルコンパニオンは、2025年2月に開催された「3DEXPERIENCE World 2025」で中心的な話題となったAIアシスタントの機能群だ。3DEXPERIENCEプラットフォームから呼び出して利用できる。同イベントでも発表された「AURA」は、過去の設計から学んだ知識を基にアドバイスを提示してくれるもので、例えばシャシーの溶接について質問すれば、どこを溶接すべきか適切な箇所を示して説明してくれる。
また、今回のラウンドテーブルではAURAに続く、第2、第3のバーチャルコンパニオンの存在も明らかとなった。
レオナルド・ダ・ヴィンチの名前に由来する「LEO」はシミュレーションの専門家という位置付けで、ユーザーが行った作業と過去の知識を照らし合わせて、製造可能かどうかを教えてくれるバーチャルコンパニオンだ。「AURAが“どうやるか”を示すのに対し、LEOは“できるか/できないか”を見極めてくれる」とシャーレス氏は説明する。
そして、新たなアイデアを提案してくれるバーチャルコンパニオンの「BRAIN」は、例えばロボットの動作について設計検討している際に、「もっと良い別の方法がある」とアドバイスをしてくれるという。
「これらのバーチャルコンパニオンは、テキストや音声、あるいは操作を通じてユーザーと直接やりとりを行う。将来的には、ダッソー・システムズが手掛けるあらゆる業界やプロセスに応じて、特化型のバーチャルコンパニオンが数多く登場することになるだろう」(シャーレス氏)
実際、AURA、LEO、BRAINの他にも、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるパンデミックの際、「臨床試験用バーチャルコンパニオンを極秘にテストしていた」(シャーレス氏)という。新しい治療法の試験に貢献する仮想の被験者を生成し、臨床試験の場でテストしたところ、良好な成果が得られたとしている。
最後に、シャーレス氏は次のように述べてラウンドテーブルを締めくくった。
「ようこそ、新しい世界へ。3D UNIV+RSESがもたらす“V+R”の世界は、他に類を見ない価値を顧客に提供するものだ。われわれは、3DEXPERIENCEプラットフォームをAURA、LEO、BRAINといったバーチャルコンパニオンとともに、“知識とノウハウのプラットフォーム”へと進化させる」(シャーレス氏)
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