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常温水と混合でαゲルを形成する粉末状カチオン界面活性剤 加熱/冷却工程不要材料技術

三洋化成工業は、常温の水と混合するだけで優れたコンディショニング効果を発揮する「αゲル」を形成する粉末状カチオン界面活性剤「アルファピュールBC12」を開発した。

» 2025年04月15日 08時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 三洋化成工業は2025年4月14日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、常温の水と混合するだけで優れたコンディショニング効果を発揮する「αゲル」を形成する粉末状カチオン界面活性剤「アルファピュールBC12」を開発したと発表した。同社は既にコンディショナーやトリートメントを対象に化粧品のメーカーとOEM企業にサンプルワークを開始している。

開発の背景

 αゲルは、皮膚中の水分や油分を保持する役割を担う成分(細胞間脂質)と同様の「ラメラ構造」を有する分子集合体で、水分の蒸散を抑える保湿効果がある他、高い増粘性も発現する。こうした特性からαゲルは化粧品やヘアケア製品において製剤の粘性調整に使用されている。

 コンディショナーやトリートメントでは、カチオン界面活性剤を用いたαゲルが活用されている。カチオン界面活性剤を利用したαゲルは粘性調整に対応しコンディショナーやトリートメントの使用性向上に貢献する。加えて、カチオン界面活性剤に由来する高い滑り性とコンディショニング効果により、髪に自然なツヤとまとまりを与えることが知られている。

 しかし、従来のαゲル調製は、水、界面活性剤、高級アルコールを一度加熱して成分を均一に混合した後に冷却する必要があり、多くのエネルギーを消費していた。温度や撹拌速度などの調製条件によって、形成されるαゲルの構造や大きさが変化するため、一定の品質と安定性を保つには専門的な知識と技術も必要だった。

 一方、化粧品/ヘアケア業界では近年、消費者それぞれの髪質や嗜好、価値観に合わせたパーソナライズ化に加えて、肌や髪だけでなく環境にも優しい製品を選択することが求められつつある。環境への配慮と多様化するニーズに対応するため、エネルギー使用量を抑えた製造プロセスの効率化や処方の自由度向上が重要となっている。

アルファピュールBC12の特徴

 こういった状況を踏まえて三洋化成工業はコンディショナーやトリートメント向けの製品としてアルファピュールBC12を開発した。アルファピュール BC12は、高いコンディショニング効果を発揮するカチオン界面活性剤「ベヘントリモニウムクロリド」と、αゲルの形成と安定に寄与する高級アルコール「セテアリルアルコール」を独自の技術で粉末化し組み合わせたものだ。常温の水と混合するだけでαゲルを形成し、加熱/冷却プロセスを不要とする。これにより、製造時のエネルギー消費量やCO2排出量、作業時間を削減し、環境負荷やコストの低減に役立つ。

「アルファピュール BC12」のラメラ構造 「アルファピュール BC12」のラメラ構造[クリックで拡大] 出所:三洋化成工業

 同製品の製造に当たっては特別な設備や技術は不要な上、これまで加熱冷却後に配合していた、熱に弱い成分も初期配合可能となり、製造効率を高められる。三洋化成工業 界面活性剤事業本部 Beauty & Personal Care部 主任の濱野浩佑氏は「アルファピュールBC12の量産は当社の国内工場で行う予定だ」と語った。

 同製品では粒子径が異なるグレードとして「粗粉砕品」「粉砕品」「微粉砕品」をラインアップしている。粗粉砕品は撹拌機を使用するコールドプロセスに適している。粉砕品は手動で混合可能で、ユーザーによるDIY調製向けだ。ユーザーが使用前に水と油を混合させることでコンディショナーを作ることができ、香料や保湿剤を自在にカスタマイズしやすい。消費者自身が自宅や旅行先でコンディショナーを調製するといった利用シーンでの活用が期待できる。微粉砕品は攪拌不要で、無水コンディショナーへの応用が可能。ぬれた髪に直接塗布するだけで、簡便にヘアケアができる。

 三洋化成工業 界面活性剤事業本部 Beauty & Personal Care部 部長の木村弘子氏は「常温の水と混合するだけでαゲルを形成する新材料であるアルファピュールBC12を用いた新たなヘアケア製品開発を目指し、化粧品のOEM企画会社と共創も進めている」と話す。

左から、「粗粉砕品」「粉砕品」「微粉砕品」[クリックで拡大] 出所:三洋化成工業

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