東京科学大学は、CO2の分離回収性能が高い結晶性多孔材を開発した。既存技術に比べ環境負荷や分離回収コストを低減できる固体で、腐食性がなく、高い耐熱性を有するCO2捕獲媒体として注目される。
東京科学大学は2025年2月4日、CO2の分離回収性能が高い結晶性多孔材を開発したと発表した。環境負荷や分離回収コストを低減できる固体で、腐食性がなく、高い耐熱性を有するCO2捕獲媒体として注目される。
研究グループは、原料分子として、四面体の各頂点に一級アミン(-NH2)を持つ原料分子と、三角形の各頂点にアルデヒド基(-CHO)を持つ原料分子を縮合させて周期的な共有結合を形成した。これにより合成される多孔体は、1つの頂点の一級アミンを未反応な状態で残したまま、3次元の立体骨格と2次元の積層構造、両方の特徴を併せ持つ、中間的な構造の共有結合性有機骨格(Covalent Organic Framework:COF)となる。
CO2捕獲基である一級アミンを高密度に有する「2.5次元COF」は、CO2分子の吸着熱を既存技術の約4分の1に抑えながら、高いCO2選択性を有する。また、吸着平衡の時定数は10秒以下を示し、吸着熱を下げても高い吸着速度を確保できることが明らかとなった。
カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、日本を含めた各国でCO2の回収と貯留(CCS:Carbon Capture and Storage)が推進されている。事業レベルでCCSの普及を図るために、コストを大幅に削減できるCO2分離回収技術が求められていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.