東京科学大学は、5GやBeyond 5Gで利用されるミリ波とテラヘルツ帯向けの広入射角電波吸収体を開発した。ループ型周波数選択性表面を備えており、Wi-Fiなどの低周波信号は透過できる。
東京科学大学は2024年11月7日、ミリ波やテラヘルツ帯向けの広入射角電波吸収体を開発したと発表した。広島大学、東京理科大学、情報通信研究機構、マクセルとの共同研究による成果だ。
開発した吸収体は、60度までの広い入射角に対して吸収特性を発揮する。30GHz帯のものでは26.5〜40GHz、150GHz帯のものでは95.4〜181GHzおよび328〜431GHzの広帯域で、90%以上の電波吸収が可能だ。また、ループ型周波数選択性表面(frequency selective surface:FSS)を備えており、Wi-Fiなどの低周波信号は透過可能なため、汎用性が高い。
(a)30GHz帯試作電波吸収体および測定系、(b)150GHz帯試作電波吸収体および測定系、(c)30GHz帯電波吸収体実測結果、(d)150GHz帯電波吸収体実測結果[クリックで拡大] 出所:東京科学大学5G無線通信サービスで活用されているミリ波帯の周波数に加え、Beyond 5Gや6G無線通信サービスでは150〜300GHzのテラヘルツ帯の利用が見込まれている。広帯域かつ広入射角に対応可能な吸収体と、ビームフォーミングやビームステアリングといったアンテナ技術を組み合わせることで、情報漏えい防止のためのセキュリティ強化や人体保護などへの応用が注目される。
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