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O-RANの推進役に、京セラがオープンな通信インフラ開発のためのアライアンス設立組み込み開発ニュース(2/2 ページ)

» 2025年02月19日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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O-RU Allianceでオープンな通信インフラ環境を加速

 これらの自社での取り組みに加え、業界の新たな動きを加速させるために、機器のオープン化とエコシステム化を推進するため「O-RU Alliance」を2025年3月3日に設立する。京セラとともに参画するのは、台湾のAlpha Networks、Microelectronics Technology、WNC(Wistron NeWeb Corporation)、韓国のHFR、SOLiD、インドのVVDN Technologiesの6社だ。今後、京セラのCU、DUをオープンに開放し、O-RU Allianceの参加ベンダーとともに、互換性があり、柔軟な無線アクセスネットワーク環境の普及を推進する。

 O-RU Allianceを通じて、O-RAN規格に準拠したCU、DU、RUをシステムソリューションとして通信オペレーターに提供することで、オープンRANの普及を促す。これにより、各通信ベンダーの5G基地局事業への参入をしやすくするとともに、通信インフラ市場の活性化を目指すという。

 堀氏は「O-RAN ALLIANCEなどで規格化なども進んでいるが、実際に機器を開発するベンダー同士が運用までを想定した検証を行えているわけではない。通信キャリアが全てを検証できるかというとそれも難しい。そのため、枠組みはあっても、オープン化を実際に進めることができない状況が生まれていた。O-RU Allianceでそのギャップを埋める。参画企業で接続して評価や信頼性を保証する。最終的にO-RU Allianceで認証するような仕組みまで持っていければよいと考えている」とO-RU Allianceの役割について説明する。

photo O-RU Allianceの目指す姿[クリックで拡大] 出所:京セラ

 O-RU Allianceでは、具体的には、以下の3つに取り組む。

  1. 相互運用テスト:京セラが提供するO-RAN規格に準拠するCU(O-CU)、DU(O-DU)を参画メンバーに開放し、相互運用テストを共同で実施する
  2. ベースバンド部の提供:京セラが参画メンバーに、インタフェース処理部のレファレンスデザインを提供する。参画メンバーはそれを利用して、京セラのO-CU、O-DUとの相互接続性を確保できる
  3. 通信オペレーター企業への紹介:京セラでは、O-RAN ALLIANCEの参画メンバーを公開し、通信オペレーターに紹介する。これにより、参画メンバーが、グローバルな通信オペレーターとのビジネスチャンスを得られる一方、通信オペレーターがさまざまな通信ベンダーのO-RUを選定できるようにする

 京セラでは、今後さらに、O-RU Allianceの参画メンバーの拡大を推進する。「O-RAN環境を普及させることを考えたときに、O-RU Allianceはその手段の1つだ。普及を加速するためにはもっと大きな力が必要で、O-RU Allianceそのものの拡大も進めていく他、AI-RAN時代を見据え、クラウドプラットフォーマーなどとの関係構築なども進めていきたい」と堀氏は語っている。

photo O-RU Alliance憲章と参画メンバー[クリックで拡大] 出所:京セラ

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