さらに2025年1月21日、EU理事会は、EHDSを正式に採択したことを発表した(図2参照、関連情報)。
EHDSは、一般データ保護規則(GDPR、関連情報)、データガバナンス法(関連情報)、データ法(関連情報)、NIS2指令(関連情報)をベースとしたEU域内統一ルールであり、最終版文書が欧州連合官報に掲載されて20日後に発効する予定である。
なお、本連載第70回で取り上げた「欧州保健データスペースに向けた共同行動(TEHDAS)」(関連情報)は2023年7月31日に終了したが、後継プロジェクトとしてTEHDAS2(実施期間:2024年5月1日~2026年12月31日、関連情報)がスタートしている。
EHDSやTEHDAS2の参画主体を見ると、当初は欧州医薬品庁(EMA)など医薬品寄りの傾向が見受けられたが、医療機器規則(MDR)や体外診断用医療機器規則(IVDR)などを経て、医療機器に関連した記述もEHDS規則案(関連情報、PDF)に反映されるようになった。
例えば、EHDS規則案の第27条(医療機器、体外診断用医療機器、AIシステムに関するEU法との関係)では、MDRで定義された医療機器またはIVDRで定義された体外診断用医療機器の製造者が、各々の機器と、電子健康記録(EHR)システムのハーモナイズされたソフトウェアコンポーネントとの間の相互運用性を主張する場合、欧州EHRシステム向け相互運用性ソフトウェアコンポーネントおよび欧州EHRシステム向けログソフトウェアコンポーネントに関する基本的要求事項への適合性を証明する必要があるとしている。
また、第49条(EHRシステムおよびウェルネスアプリケーションの登録のためのEUデータベース)では、欧州委員会が構築/運用する「EHRシステムおよびウェルネスアプリケーションの登録のためのEUデータベース」に転載される医療機器、体外診断用医療機器、高リスクのAIシステムについて言及している。
さらに第51条では、2次利用向け電子保健医療データの最小限のカテゴリーとして、以下の(a)~(q)を挙げている。
これらのカテゴリーから分かるように、EHDSの構築/運用上、医療機器/デジタルヘルス企業は、データユーザーとしての責務(第61条に規定)だけでなく、データホルダーとしての責務(第60条に規定)を果たすことが期待されている。EHDS関連プロジェクトに関わる医療機器/デジタルヘルス企業は、この点に留意してステークホルダーコミュニケーション活動を行う必要があろう。
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