顧客が問い合わせを行う理由を明確化することで、適切な提案が可能になる。問い合わせの背景は、以下の3つのパターンに分類できる。
顧客が受注/失注を決定する要因を明らかにする。
特定の加工方法や材料など、頻出するキーワードからニーズを特定
受注になりやすい案件とそうでない案件を比較する。自社の不足点による失注があれば、その要因を明確化する。
どの業界や製品に需要があるかを特定する。
上記の分析手法では、データ量の増加に比例して必要な時間と労力も増大する。この課題に対し、ChatGPTなどの生成AI(人工知能)を活用することで、効率的な一次分析が可能となる。生成AIは大規模データから短時間で意味のあるパターンや傾向を抽出できるため、分析担当者の作業負担を大幅に軽減できる利点がある。
しかし、実際に試してみると、データ量が多すぎる場合にはエラーが発生するケースもあり、まだ課題は残る。また、AIによる分析結果はそのまま利用するのではなく、最終的には人間の目で確認、判断する必要がある。
また、問い合わせ分析を行う際には、機密情報の取り扱いにも十分注意が必要である。顧客名や連絡先などの個人情報を全て削除し、プライバシーを確保した上で分析を進めることが重要だ。
問い合わせ分析を活用することで、顧客ニーズを深く理解し、自社の強みを最大限に引き出すことが可能である。特に受託加工業においては、他社との差別化が難しい分、こうした体系的な分析が競争優位性の確立につながる。本記事で紹介した手法を活用し、さらなる成長を目指してほしい。
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小林正道
テクノポート株式会社 取締役
製造業のWebマーケティング支援を15年以上行っている。製造業への訪問実績は2000社を超える。幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規開拓営業の支援を行う。
『マーケティングスキル×Webスキル(SEO中心)×製造業に関する深い知識』
この3つのスキルを組み合わせることで独自の専門領域を作り、卓越した力を発揮する。
日本工業大学技術経営学修士(MOT)2023/3卒業。
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