展示会やWebサイトを通じた問い合わせを分析した結果、荒川技研は顧客がアクリル製品に興味を持つケースが多いことを把握した。しかし、顧客のニーズはアクリル素材そのものではなく、透明性を生かして内部構造を可視化したい、というところにあった。この知見をもとに、同社は顧客のニーズに応える戦略を再構築した。
まず実施したのは、透明性や可視化を軸にした製品ラインアップの拡充である。アクリルに限定せず、他の透明な材質も採用することで、顧客に幅広い選択肢を提供した。
透明性を具体的な尺度に基づいて評価するため、「ヘーズメーター」を導入した。この機器を活用することで、透明度や光拡散性を数値化し、顧客が客観的な基準をもとに製品を選定できるようにした。これによって透明性という感覚的な特性を数値で明確に伝えることが可能となり、顧客との食い違いを減らし、信頼感の向上にもつながった。
上述の取り組みにより、透明製品に特化した提案力を強化した結果、従来のアクリル製品の枠を超えた新たな需要を掘り起こすことに成功した。このように、顧客の課題に応える柔軟な対応と革新的な取り組みを通じて、同社は問い合わせ件数の増加を実現し、新規顧客の獲得にもつなげた。
問い合わせ分析の目的は、主に下記の3つだ。
問い合わせ分析により、顧客が何を求めているのかを明確に把握できる。これにより、自社の技術や設備で提供できる価値について注力すべき方向性を適切に調整できる。
分析を通じて既存の加工技術の改善だけでなく、新たな提供価値やサービスのアイデアを得られる。これにより、従来の枠を超えた事業展開が期待できる。
市場のトレンドを踏まえた迅速な対応が可能となり、競争優位性を確保できる。特に差別化された技術や製品を打ち出すためのヒントを得られる点が重要である。
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