問い合わせデータを事業成長につなげよ! 製造業の具体的事例と併せて解説間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(23)(3/4 ページ)

» 2025年01月29日 07時00分 公開

問い合わせ分析の手法(受託加工業向け)

 問い合わせを分析するために最初に必要なのは、分析するためのデータだ。問い合わせを個別対応しているだけで、情報の蓄積ができていないようであれば、まずはデータの蓄積から仕組みを作る必要がある。件数が少ないようであれば、Excelなどでの管理でも十分だ。

 件数が増えてきたら、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、問い合わせデータが自動蓄積される仕組みを作るとよい。また、件数が多い場合は、有効な問い合わせに限定して分析をすることから始めてもよい。データがあることを前提に、下記の手順で情報を分類し分析を進める。

1:分析の基本フレームワーク

 問い合わせを体系的に分類/分析するために、以下の視点を活用する。

透明性の指標 透明性の指標[クリックして拡大] 出所:テクノポート

1.1 Technology(技術視点)

 加工設備や技術そのものに関する顧客の関心を把握する。たとえば以下のような項目を分類する。

  • 加工設備:どのような機械が必要か
  • 加工技術:プレス板金、切削(旋盤、フライス)、溶接など

1.2 Function(提供機能視点)

 提供可能な加工内容に基づく顧客の要求を分類する。具体的には以下の項目が含まれる。

  • 加工サイズ:部品の大きさや形状
  • 加工材質:使用する材料(真ちゅう、アクリル、アルミなど)
  • 精度:どれだけの精密さが求められるか
  • 個数:単品、小ロット、大ロットなどの製造量
  • 図面の有無:詳細な仕様書や設計図の有無

1.3 Function2(要求機能視点)

顧客が製品やサービスに求める付加価値を分析する:

  • 納期:どの程度のスピードが必要か
  • コスト:予算や費用感
  • 品質:最終製品の品質に関する要求

1.4 Market(市場/製品/用途視点)

顧客が属する市場や用途を把握し、需要を掘り下げる:

  • 製品/用途:完成品がどのように使用されるか。
  • 業界:自動車、電子機器、建築など。
  • 購買者属性:購買担当者の役職や意思決定プロセス。

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