以下は、製品在庫の真の原因を追及するために、どの位の製品数量が在庫されているのかを分析する手順を示したものです。
品種ごとの分析は多大な分析工数を必要とし、必ずしも改善案の立案に役立つ分析とはいえない場合があります。生産方式別や使用材料別など適切な品種ファミリー区分を設定して、分析工数の短縮と改善効果の最大化を図る必要があります。
効率的な在庫管理がなされているかどうかを示す“管理レベル”の分析として、製品在庫の保管状態の分析を行い、在庫管理の実態を把握します。
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工程や作業の始めから終わりまでの所要時間(リードタイム)と仕掛かり量は密接な関係にあります。リトルの法則(Little's Law)という有名な理論があり、“仕掛かり量=リードタイム×処理速度”で表されます。つまり、リードタイムを短縮するためには、仕掛かり量を適切に管理することが必要であるということです。
仕掛かり量は、前述の通り製造過程でまだ完成品には至っていない製品や部品の量をいいますが、生産工程にボトルネックが発生している場合は仕掛かり量が増加します。また、仕掛かり量が日常的に管理され一定の水準に保たれていれば、効率的なプロセスが維持されますが、過剰な仕掛かり量は無駄を生む元凶となります。
リードタイムは、製造業では手配番数、先行日数、基準日程などと表現することもあります。リードタイムは、生産スピードや顧客への納品速度を評価する上で非常に重要です。リードタイムが短いと迅速に商品を提供でき、顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)が向上します。また、仕掛かり量が多くなるとリードタイムが長くなり、生産効率が低下します。
以上の理由から、仕掛かり量とリードタイムを効果的に管理することで効率的な生産が可能となり、コスト削減や顧客のニーズに迅速に応えられる上に納期順守も達成できます。仕掛かり品や製品在庫は変動費として収益に大きく影響を及ぼすことを考えれば、財務会計においても重要な意味を持つことを理解していただけるのではないでしょうか。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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